様々な冬野菜の栄養とおすすめの食べ方
~旬の時期に食べたい!お薦めレシピ~

寒くなる時期に旬を迎える、冬野菜。
『大根』、『かぶ』、『れんこん』などの根菜類のほか、最近では『ブロッコリー』や『カリフラワー』などの洋風の野菜も人気となっています。

そんな冬野菜、華やかで彩り豊かな夏野菜などに比べると一見地味なようにも思えますが、実はすごいパワーを秘めているんです。

今回は、変わりやすいお天気や冬の寒さにも打ち勝つ原動力となる、こうした冬野菜の秘密に迫ってみたいと思います。コラムの中で、さまざまな冬野菜の取り上げながら、冬野菜が持つ主な栄養のご紹介やおすすめの食べ方、レシピをご紹介していきます。
旬の野菜を上手に食卓にとり入れることで、心身の不調が起こりやすい寒い季節を少しでも快適に乗り越えられたらいいですね。

 今こそ食べたい冬野菜

代表的な冬の野菜といえば、やはり『大根』や『かぶ』などの根菜類、それに『白菜』、『ねぎ』、『春菊』などの鍋物に使う野菜や、『ほうれん草』や『小松菜』などの身近な葉野菜などがすぐに思い浮かぶかもしれません。

こうした野菜類に概ね共通しているのは、寒さにあたり、甘みや栄養価が増しているという点です。野菜はもともと水分が多いので、気温が下がると寒さで凍結してしまわないよう、細胞の中に糖を蓄えようとする性質を持っています。よく「寒さにあたった野菜は甘くなる」と言われますが、冬に旬を迎える野菜がこの時期に甘くなるのはまさしくそのためなのです。

しかも厳しい寒さを乗り越えた野菜は、味が良いだけでなく栄養価まで高くなっています。たとえば長い時間をかけて土の中で育ってゆく根菜類は、その根っこ(正確には、地下茎と呼ばれる土の中で育つ茎の部分や、鱗茎と呼ばれる球根にあたる部分なども含みます)にたくさんの栄養を蓄えて春を待ちます。

また、『大根』や『白菜』などのように一年を通じて買い求めることのできる野菜も多くありますが、特に甘みが増して美味しく、みずみずしくなるのは旬を迎えるこれからの冬の時期。
旬の野菜は出荷量も多くなるため、価格も手頃で安定する傾向にあります。ぜひこのタイミングを逃さずに、冬野菜の美味しさを存分に味わいましょう。

 さまざまな冬野菜

さて、ひと口に冬野菜といっても、種類はいろいろあります。

【主な冬野菜】

根菜類:にんじん、かぶ、れんこん、ごぼう、大根など
芋類:じゃがいも、さつまいも、里いも、長いもなど
葉野菜:ほうれん草、小松菜、春菊、水菜など
その他:白菜、ねぎ、ブロッコリー、キャベツなど

こうして見ると、すでに秋口から出回るものから真冬に旬を迎えるものまで、実にさまざまなものがあります。中には『さつまいも』のように、収穫後すぐよりも貯蔵して少し寝かせた方がより味が良くなるような野菜もあります。また、『にんじん』や『かぶ』、『キャベツ』、『じゃがいも』などのように、一年の中に旬が二回以上あるものもありますね。

こうした冬野菜はそれぞれ味わいが違っており、そしてもちろん、含まれている栄養素も少しずつ違っています。
寒さの厳しい冬場は、風邪やインフルエンザなどが流行したり、体の冷えや悪天候からくる心身の不調もとりわけ起こりやすくなる時期。こうしたさまざまな野菜をバランス良く食べることで、楽しみながら体調を整えていくのがよいかと思います。

 冬野菜の栄養とおすすめの食べ方

では、旬の冬野菜を選ぶ時に、どんな所をポイントにするのがよいでしょうか?

もちろん、家族の好みやその時々の気分、価格帯などで決めるのが一番ですが、ちょっとしたことを心に留めておくと店頭でも選びやすいことがあるかと思うので、それぞれの大まかな特徴を簡単にご紹介しておきますね。

根菜類

まずは、根菜類。基本的に、他の野菜に比べると水分が少ないため、体を冷やしにくく、体を温める作用があると言われています。
食物繊維のほか、ビタミンミネラルも意外に豊富なので、汁ものやスープなどにして丸ごといただくのもおすすめです。皮に近い部分の方が風味が強く、栄養価も高いことが多いため、たわしなどでよく洗って皮ごと料理に使ったり、きんぴらやお漬け物など箸休めにして皮のポリポリした食感を楽しむなどするのも良いかと思います。大根やかぶなどは、葉の部分の方が栄養価が高いので、そちらも刻んで使うと無駄がありません。

根菜類をつかったおすすめレシピ
豆と根菜の具だくさんおかずスープ
キャロットケーキ♪甘酒チーズフロスティング
かぶときのこのサブジ

芋類

次に、芋類。寒さで風邪を引きやすい冬場、芋類に期待したいのはなんといってもビタミンC。免疫機能にも良い影響を及ぼすとされる栄養素です。そしてよく知られているように、芋類のビタミンCは加熱しても比較的壊れにくいのが特徴なので、温かい料理が多くなる冬場には特に重宝します。
カロリーの低い里いもや、生のままでもいただける長いもなど、味わいの選択肢が広いのも魅力です。飽きることなくさまざまな美味しさを楽しむことができます。

芋類をつかったおすすめレシピ
じゃがいもとツナの揚げないスコップコロッケ
ハトムギとたたき長芋の鶏だし梅スープ

緑黄色野菜(葉野菜)

そして葉野菜をはじめとする緑黄色野菜も、ビタミンミネラルの宝庫。先のビタミンCはもちろん、のど・鼻の粘膜などの健康を保つ効果があるとされるβカロテンなども豊富に含まれています。
味の点からみても、たとえば『春菊』や『小松菜』などの青菜が持つシャキシャキ感や元気の出る色合いは、冬場の食卓のアクセントにもなります。加熱はもちろん、生のまま食べても美味しいものもあるので、ぜひ付け合わせとして添えたり、油を含むたれやドレッシングなどと合わせて栄養素の吸収率を上げ、毎日の食卓に積極的にとり入れていきましょう。

緑黄色野菜をつかったおすすめレシピ
牛焼き肉と季節野菜の吹き寄せ風
おうちで台湾風牛肉麺♪お手軽でも本格味

アブラナ科の野菜

また、寒い冬場に特に注目したいのがアブラナ科の野菜
たとえば、『キャベツ』、『ブロッコリー』、『カリフラワー』、『芽キャベツ』、『ケール』、『ルッコラ』などがそうです。 

厳しい気候環境でも比較的育ちやすいアブラナ科の野菜は生命力が強く、含まれている栄養も段違い。たとえば「ビタミンの爆弾」と呼ばれる『芽キャベツ』にはレモンの1.5倍以上のビタミンCが含まれていますし、『カリフラワー』にも、芋類同様、加熱しても壊れにくいビタミンCが期待できます。

そのほか、アブラナ科の野菜には高い抗酸化力を誇る成分が多く含まれているため、老化や生活習慣病の予防にも効果的だといわれています。
寒くなってくると気になるむくみや便秘にも、アブラナ科野菜に含まれるカリウムや食物繊維が役立ちそうです。

アブラナ科の野菜はどちらかというと青臭さが強く、独特の苦みや食感があるのが特徴ですが、実はそれこそが冬場の元気の源。サラダはもちろん、じっくり煮込んだり、ローストしたり、加熱することで生まれる旨みや香ばしさがあるので、相性の良いナッツ類や油脂と共に調理してぜひ美味しくいただきましょう。

アブラナ科野菜をつかったおすすめレシピ
芽キャベツとナッツのロースト
鶏ささみの米粉スティックからあげ

いかがでしたか?旬の時期を迎え、一段と美味しくなってくる冬野菜。
余すところなく上手に使って、厳しい寒さを乗り越えてゆけたらいいですね。


以下の『スパイスとハーブの嬉しい効果と役割~ひと振りで料理上手!お薦めレシピ紹介~』の食コラムもご参考頂けれと思います。

料理/食文化研究家・庭乃桃さん

料理/食文化研究家・庭乃桃さんMeal Partner_Food Culture Researcher

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大学院でヨーロッパ地域の歴史・文化を専攻し、現地へ留学。
企業向けレシピの開発やスタイリング・撮影を手がけるほか、書籍・コラムの執筆や、翻訳、講演など多方面で活動中。

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