春薬膳から学ぶ*旬の食べ物を選ぶポイント3選【国際薬膳師コラム】

春はメンタルの不調に要注意!春に食べたい旬食材と薬膳のおすすめレシピ

凍てつく風が届く寒い冬が終わりを迎えると、春には木々が明るい緑に色づきはじめ、優しい陽射しが暖かく過ごしやすい季節になりますね。

ようやく穏やかな春が訪れたのに、体調や気持ちがなかなか安定しないとお悩みではないですか?
東洋医学では、春は特にメンタルが不安定になりやすい季節といわれています。

✅イライラしやすい
✅ため息がでる
✅落ち込むことが多い
✅ぼーっとしやすい

他の季節よりもこれらが気になる場合、春への移り変わりが原因になっているかもしれません。

季節によって体の不調を感じることがあっても、心に影響するというのは少し不思議な感じがするかもしれませんが、薬膳の軸となる中国の医学では、季節、人の体、人の心はそれぞれ深く関わり合っていると考えられています。そのため、季節によって人の心持ちにも変化があるのです。

春におこりやすい不調の原因を東洋医学で紐解き、おすすめの旬食材を選ぶ3つのポイントをご紹介します。

 五行学説でよみとく春の心と体

薬膳では、中国で古くから伝わる五行学説の考え方を取り入れています。

五行学説とは、地球上のあらゆるものが5つのグループ(木、火、土、金、水)に分けられ、それぞれが変化し、影響しあって存在していると説いています。
季節や色、方角など自然に関わるものの他、人の体の部位、気持ちもこの5つのグループのいずれかに分けられています。

では、『春』はどのグループに入るのでしょうか。

『春』は生長や伸びやかさの特性をもつ【木】のグループに入ります。
春のほかには、人に関わる五臓の肝、怒りの感情、顔の一部である目などが属します。

【木のグループ】

五行学説

五季:

五臓:

五志:怒

五竅:目

春の心と体を読み解くキーポイントとなるのが、『五臓の肝』です。春は肝が活発に働く季節になり、肝が元気でいることが大切です。

中医学でいう五臓の肝は、解剖学での肝臓そのものとは異なり、働きや機能をあらわします。
中医学での『』は、血を貯蔵したり、血流をコントロールしたり、また精神的な安定をはかる役割も担います。

肝が活発に働く春は、肝が疲れやすくなります。肝が疲れていると、精神や気持ちが安定しないため、落ち込みやすくなり、ため息が多くなります。そのため、肝が活発に働く春は、精神状態が不安定になりやすい季節でもあるのです。

また、【木】のグループにある「怒」や「目」も肝の働きに影響をもたらします。怒りの感情が強くなりすぎる、またパソコンやスマートフォンの見すぎで目が疲れることで、肝を傷めてしまうのです。

春は肝が元気であれば、情緒は安定し、健やかな心持ちで過ごすことができます。

 春薬膳の食材選びの基本ポイント

では肝を元気にするための春薬膳には、どのような食材を選んだら良いかみていきましょう。

春薬膳の食材選びのポイント3選

1.五臓の肝を元気にする
2.血を補う
3.気の巡りをよくする

五臓の肝を元気にする – 食材選びのポイント1 –

薬膳では、すべての食材に働きがあるとしています。五臓を元気にしたり、足りないものを補ったり、余分なものを体の外にだすよう促したりと、食材のもつ働きを活用して、その人の体調や季節にあわせて体の調子を整えます。

春は肝の働きが活発になる季節なので、他の季節よりも肝を元気にする食材を積極的にとることで、肝の働きを安定させます。

特に春に旬を迎えるあさりを旬の緑色の野菜と一緒にぜひ積極的にお料理にとりいれてみてください。

特に春に旬を迎えるあさりを旬の緑色の野菜と一緒にぜひ積極的にお料理にとりいれてみてください。

五臓の肝を元気にするには、次のような食材がおすすめです。

○肝を元気にする食材〇
レバー、あさり、しじみ、イカ、菊の花、トマトなど

血を補う 食材選びのポイント2 –

五臓の肝は血を貯蔵するため、血が不足すると肝の不調へとつながります。血を充実させるためには、血を補う食材がおすすめです。

○血を補う食材〇
にんじん、ほうれん草、ぶどう、ライチ、レバー、イカ、タコ、落花生、黒ごまなど

ご飯やスープに黒ごまを散らすレーズンや落花生をおやつにするなど取り入れやすいことからはじめてみてください。

<おすすめ薬膳レシピ>春の薬膳デザート♪レーズンマスカルポーネ*不調をメンテナンス

気の巡りをよくする – 食材選びのポイント3-

肝は精神の安定とストレスに深く関わっています。

私たちのエネルギーである気の流れが悪くなると、肝の働きを妨げる原因になるため、気の巡りを良くすることで、ストレスを発散し、肝への負担を減らします。

気の巡りを良くするためには、睡眠を良く取り、疲れをためすぎないことを日常生活から気をつけるとともに、気の巡りを良くする食材を積極的にとっていきましょう。

○気の巡りをよくする食材〇
そば、エンドウ豆、たまねぎ、らっきょ、みかん、オレンジ、ジャスミンなど

<おすすめ薬膳レシピ>春の薬膳おかず*身体を整える鶏肉のポン酢煮こみ

  春薬膳コラムまとめ

春は新しい生活がはじまり、がんばろうとする気持ちが強くなる分、無理をしてしまうことも多くなるかもしれません。そんなときには自分の心と身体と向き合う時間を忘れず、ゆっくり散歩をしたり、リラックスしながら趣味を楽しんだりするとともに、食を通して春の心を整えてみてくださいね。


 その他おすすめ薬膳レシピ

<おすすめ薬膳レシピ>春の薬膳スープ♪花粉症に!大葉とえのき茸の味噌汁

国際薬膳師・松野志保さん

国際薬膳師・松野志保さんMeal Partner_Kokusai-Yakuzenshi

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資格:国際薬膳師。薬膳素材専門士。スポーツマネージメント修士号。
中学校時代に住んでいた香港の食ライフが記憶に深く刻まれ、中医学の世界に魅せられ、国際薬膳師の資格を取得。 季節の薬膳、美容薬膳のほか、キッズ薬膳やメンズ薬膳、世界の料理や日本の郷土料理の薬膳アレンジを得意とする。 現在は、薬膳の執筆・カウンセリング・ワークショップ・レッスンなどの活動を行っている。

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