不安な時の脳の状態と不安軽減におすすめの食材【薬剤師コラム】

私達の生活スタイルを大きく変化させた新型コロナウイルス感染症は、第7波でさらに感染が拡大し、不穏なニュースが後を絶たない昨今、多くの皆様が不安を感じ、ときには精神的な負担が生じていることと思います。

本コラムでは、不安な時の脳の状態がどのようになっているかをお伝えし、少しでも「不安を軽減」するため、「不安なときにおすすめの食材」についてご紹介します。

 不安な感情は当然?

さて、時事的なニュースに関わらず、日々生活していく中でどのようなことに「不安」を感じるでしょう。
仕事や人間関係や経済的な不安など自分ではコントロールしきれないことも多いですよね。

まず、「不安」は“消し去ろう”とするものではなく“上手に付き合っていくもの”「不安」があるというのは、“当然の状態なんだ”と思えると、少しでも気持ちが楽になるかもしれません。

私達はみな、少なからず「不安」という感情を持っています。

「仕事が上手くいくかな」「病気になったらどうしよう」、老後のお金のこと等、不安があるからこそ、しっかり対策して安心して過ごせるようにもなります。
逆に、不安がなければ対策できず、事態が起こってしまったときにしっかり対応できないことも…。

「不安」が起こるときこそ、物事を良い方向へ転換させるタイミングかもしれません!

とはいえ、不安を抱いているときは、前向きで明るい気持ちではありません。
不安を感じて辛いとき ぜひ、こちらのコラムを参考にしていただければ幸いです。

 【不安を感じているときの脳はどんな状態?】

 1.脳内の神経伝達物質のバランスが崩れている

神経伝達物質

神経伝達物質とは、ニューロンと細胞との間で信号を伝達する脳内の化学物質のことで、いわゆる「脳の連絡役」です。
代表的なものに、セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンがあります。

神経伝達物質には、少なくとも 100 の神経伝達物質があり、それぞれ異なる機能を持っていますが、重要な神経伝達物質として、セロトニンノルアドレナリンドーパミンの3つに関して役割をご説明します。

それぞれの神経伝達物質の情動*(インプットされた感覚刺激に基づいて、一時的かつ急速に生まれる本能的屋感情や身体的反応)における役割は以下となります。

ノルアドレナリン(noradrenaline)・・・意欲、集中力
ドーパミン(dopamine)・・・喜び、快楽
セロトニン(serotonin)・・・幸福感、安心感

また、セロトニンには、ドーパミンやノルアドレナリンの情報をコントロールし、精神を安定させる働きがあります。

セロトニンが低下すると、ノルアドレナリンとドーパミンのバランスが崩れてしまい、イライラ攻撃性が高まったり、強い不安に襲われてしまいます。


-補足・用語説明-

ノルアドレナリン】とよく聞く【アドレナリン】との違い

「ノルアドレナリンが『怒り』に対して多く分泌され、アドレナリンが『恐怖』によって多く分泌されるという点」です。
アドレナリンは心拍数や血圧をあげる役割のほか、以下のような効果効能があります。

アドレナリンの主な効果/効能/作用
・血管が拡張する(運動量を高めるため)
・気管支平滑筋が弛緩する(呼吸をしやすくするため)
・瞳孔が大きくなる(感覚を高めるため)

*情動

情動とは、インプットされた感覚刺激に基づいて、一時的かつ急速に生まれる快、不快や恐怖、怒り、悲しみ、喜びなどの原始的、本能的な感情やそれに伴う身体的反応のことをさします


2.脳が興奮状態にある

脳内でグルタミン酸という興奮物質が過剰に分泌され、興奮状態が持続します。

このグルタミン酸に相対するものが“GABA”と言われるもので、脳を落ち着けリラックスさせる働きがあります。

不安が起こっているときは、グルタミン酸の分泌量が多くGABAの分泌量が少ない状態です。

上記のメカニズムにより、臨床現場では不安症やうつ病などの精神疾患に対して、セロトニンやGABAを脳内で増やすお薬が利用されています。

 <不安な時におすすめな食材・調味料

不安な状態にある時に食べると良い、おすすめ食材や調味料をご紹介します。

腸内環境を整える発酵調味料 – fermented seasoning –

塩麴、醤油麹、甘酒、味噌、酒粕 等

セロトニンの90%は腸に分布しています。
腸内環境が良好であると十分な量のセロトニンが脳に伝達されるため、腸を整える発酵調味料は、おすすめの食材です。

GABAを多く含む食材 – gamma-aminobutyric acid –

発芽玄米、納豆、トマト、じゃがいも、ぶなしめじ、そば、味噌 等

GABAを多く含む食材をとることで、脳がリラックスすることができ、不安を軽減することができます。

セロトニンの原料となるタンパク質  protein

鶏肉、豚肉、木綿豆腐、鮭、カツオ 等

セロトニンの原料は体内で生成することができないため、食事から摂取することが不可欠です。その原料がタンパク質に含まれているため、不安なときこそしっかりタンパク質を摂る必要があります。

また、セロトニンは夜になると体内で睡眠ホルモンであるメラトニンに変換されるため、不眠でお悩みの方にとっても、おすすめの食材です。

 終わりに

いかがでしたでしょうか。不安で料理も億劫になり、おにぎりとサラダだけ!と一見シンプルでヘルシーなメニューでは、なかなか不安を軽減することは難しくなります。

不安なときこそ、お魚を焼くだけ、お肉に塩麴を揉み込むだけと手間をかけなくてもよいので、しっかりタンパク質を摂取し、不安の先にある明るい未来へ進めるよう、心身ともにしっかりケアをしてあげましょう。

一日でも早く安心な日常が取り戻せますように心からお祈りしております。


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薬剤師-栄養カウンセラー・冨尾ありささん

薬剤師-栄養カウンセラー・冨尾ありささん(一社)インナービューティープランナ-

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薬剤師の経験と栄養の知識を通じて「共働きのお母さんの幸せを叶える」ことをミッションに活動。
薬学と栄養学で顧客の美容・健康計画を叶えるだけでなく、調和のとれた豊かな暮らしをサポートする起業支援に従事。単なる起業支援ではなく、「魅力的に年を重ねるライフスタイル」をトータルサポートしている。
フルタイム勤務しながらフリーの仕事である料理教室・栄養セミナー受講者は1年で600人、カウンセリング薬局のべ5000人

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