沖縄の器【やちむん】を知って毎日の食事を楽しむ3つのポイント[沖縄料理研究家コラム]

何気なく毎日使っている「器」。日常生活に不可欠な物ですね。食事は目で見て香りを楽しみ味わうと言うように、料理を盛り付ける「器」は、料理の一部なのです。沖縄の「器」の種類には、琉球漆器やちむん琉球ガラスがありますが、今回は、沖縄の器【やちむん】について歴史や種類、器を楽しむためのポイントをご紹介します。

沖縄の器【やちむん】を楽しむポイントは以下の3つです。

1.歴史背景や作家さんの想いを知る
2.沖縄の器の種類や特徴を知る
3.購入した器を日常使いする

では、詳しく解説していきます。まずはじめに「やちむん」の概要から―。

 沖縄工芸品の器【やちむん】とは!?

沖縄方言で、焼き物の陶器のお皿などを 【やちむん】と呼びます。

沖縄のお土産でも人気商品のひとつで、以前よりさらに需要が高まっている!と感じたのは、ここ数年です。20年前、那覇空港のお土産コーナーに数店舗しか並んでいなかった器ですが、先日立ち寄ってみたら多くの店舗で、【やちむん】が並んでいました。また、沖縄の人気スポット国際通りのお土産屋さんでは、ほとんどの店舗で取扱いがあり、今ではお土産の人気商品となっています。

沖縄の気候は台風も多く、1年の半分以上は夏日。そのため、食べ物が傷まないように保存方法などが工夫され、器がない時代には、なんとお皿代わりに風通しが良い「ザルや貝類」が使われ、取り皿としては、「月桃・芭蕉・クバ・芋類の葉」など、ご飯は「竹の筒」などが使用されていました。先人の知恵で、植物など自然のものを取り入れていた生活が垣間見ることができますね。

土器を使用していた時代には、どの家庭にも水の貯槽用の水甕や味噌などを入れる器があったようです。では、沖縄の器【やちむん】は、どのように発展していったのでしょうか。

 ①やちむんの歴史とは!?

沖縄県が琉球王国という一つの国だった時代の城跡からは、タイ製、ベトナム製、中国製などの陶器やお皿が発掘されています。貿易が盛んだった国のものが多く、当時のものとは思えないくらい、素敵な絵が施され、芸術的な作品が多くありました。

(こちらは、沖縄県立博物館・美術館<沖縄県那覇市おもろまち>で見ることができます)

沖縄の器は、歴史が古く、15世紀ごろ瓦職人が中国から帰国し、瓦を焼きながら日常食器を焼いたのがはじめとされます。17世紀から本格的に陶器の生産が始まり、中国や薩摩(日本)の技術を取り入れながら、沖縄独自のへと進化しました。他国にはないデザインや形が豊富で、お皿以外にも、泡盛壺泡盛を入れるカラカラ抱瓶(ダチビン)ラード入れのアンダガーミー守り神のシーサーの置きものなど、独自の焼きのもがたくさんあるのです。

器以外の伝統的な焼き物

全国でも「有田焼」、「美濃焼」など地名が付いた器がありますが、沖縄にも産地ごとに地名のついた「壺屋焼」、「喜名焼」、「作場焼」、「知念焼」、「首里焼」などがありました。

1682年王府の管理下となり、ヤチムン壺屋(工房のような場所)は、那覇市壺屋や牧志周辺に集められ、陶器製造の中心の地となりました。現在でも、壺屋やちむん通りには、やちむんのお店が30件以上も並び、人気の観光スポットにもなっています。昔ながらの面影があり、どこか懐かしさが漂う場所です。

那覇市壺屋・やちむん通り

戦後、壺屋の地域は、住宅が密集し、薪を使用する伝統的な登り窯は、煙害が問題になりました。1978年4名の陶芸作家さんが、読谷村に移り活動を始め、1992年以降に読谷村に13連の登り窯を築き、それが読谷村にある北窯です。歴史の基盤になったのは、この北窯や壺屋付近ですが、沖縄県内には、各地域に多くのやちむん作家さんがいるので、自分好みの作家さんを探すのも楽しいですね♪

読谷村・やちむんの里

作家さんに会える機会は少ないですが、作家さんのお話を聞くのもおススメです。数年前、とある有名なヤチムン作家さんにお会いした時、「伝統も大事だけど、それを伝え続けるためには新しい柄や色を取り入れて若者に興味を持ってもらうが必要がある。反対された時期もあったけど、今では若者がたくさん来てくれるから勇気出してよかった」と話されていました。伝統を守りながら器を次世代に伝え続けていく熱い想いが素敵で、私自身もやちむんがより好きになるきっかけになりました。

歴史背景や作家さんの想いを知ると魅力が倍増しますね。なかなかお会いできない作家さんは、HPなどを覗いて作り手の想いをみるのもおススメですよ♪

では、それぞれの器の種類や特徴をみてみましょう。

 ②やちむんの種類や特徴とは!?

沖縄の器【やちむん】は、ずっしりとした重みがあり、温かさを感じるのが特徴的です。

種類は大きく分けて▲荒焼と▼上焼があります。

荒焼とは
別名南蛮焼ともよばれ、約1000℃で焼き、つやを出す釉薬をかけない物です。
昔は主に水甕や味噌甕など大きなものが焼かれていました。

上焼-沖縄の器「やちむん」を知って毎日の食事を楽しむ3つのポイント-食ZENラボコラム

上焼とは
つやを出す釉薬をかけ、約1230℃で焼かれたもので、色彩を加えたものが特徴的です。日常に使用する食器・酒器・花瓶なども、上焼のものです。

那覇市壺屋・やちむん通り・広場
那覇市壺屋・やちむん通り・焼物博物館
 ③やちむんを日常使いすると気分が上がる!?

購入した器を日常使いしていますか。

100円でお皿が買える時代ですが、有名作家さんの【やちむん】は1万円以上するのも多く、高価で大切にしたいという想いから、なかなか使えない方もいるかと思います。

パーティーなど人が集まる日には使うけど、「せっかく買ったのに、食器棚に入りっぱなし」という話もよく聞きます。

まずは、心の余裕がありそうな休日のランチや、取り皿や小皿、大皿1枚から日常使いするのがおススメですよ。料理の味は変わらなくても、特別感があり、より楽しい食事時間になります。

◆食事を豊かにする器の魅力◆

同じ料理でも、器を変えるだけで、料理の雰囲気が異なります。例えば上記の写真をご覧ください。沖縄の郷土料理『クーブイリチー(昆布の炒め煮)』ですが、白い器に盛り付けたもの琉球漆器とやちむんの器に盛り付けたものです。同じ料理なのに、雰囲気が異なり、特別感が出るのがわかりますね!

また、お気に入りの器を使うと、普段より食事の時間が豊かになり、気分も上がります♪私自身も昔は、食器棚の奥にしまっていた派なのですが、一番お気に入りのやちむん(青いお皿)を、取りやすい棚に移動して、朝ごはんに使用することから始めました。幸せな朝ごはんの時間が流れ1日が気分よくスタートできるのです。皆さんも、一番お気に入りのやちむんを、取り出しやすい食器棚に移動してみましょう。

お皿を割るのが怖いという方は、他の食器と分けて洗いましょう。お皿を割る確率が高いのは、食器洗いの時です。普段の感覚でサッと洗ってしまいがちですが、洗う時は丁寧に洗い、積み上げずに、布巾で拭き、すぐに片づけるとよいですよ。食器棚に眠っているお気に入りやちむんを毎日の食卓にも使用し、食事の時間を楽しみましょう♪

長い歴史の中で変化しながら今でも愛される沖縄のやちむん。

最近はオンラインから購入できる器がたくさんあります。

是非、お気に入りの作家さんや器ショップを探してみてくださいね。

参照:「沖縄の民具と生活 (琉球弧叢書11) 」「沖縄県立博物館」「壺屋通り 陶彩」


こちらのコラム『沖縄の食文化・琉球料理の特徴と料理紹介』も合わせてご覧頂ければと思います。

沖縄伝統工芸品・琉球漆器の特徴と魅力~東道盆と琉球料理のおもてなし~』も是非ご覧頂ければと思います。

沖縄料理研究家・管理栄養士 宮澤かおるさん

関東と沖縄の両拠点で、「ぬちぐすい(食は命の薬)」をモットーに沖縄の食文化や沖縄食材を広める活動中。管理栄養士として、ジュニアアスリートの栄養カウンセリング、料理教室・大学での助手、病院栄養士(内分泌系栄養指導等)、食のコンサルティング会社(TV番組料理アシスタント、商品開発、腎臓病サイト監修等)を経験され、幅広い栄養管理の知見・実績を積む。

沖縄の先代が大切にしてきた食文化、沖縄島野菜、琉球王国時代の食を次世代に伝える!という想いで関東初の沖縄料理研究家として活動中です!
沖縄県内ホテル食部門アドバイザー、泡盛メーカーコラム担当、全国紙沖縄料理特集担当、沖縄食材トークショー、TV出演 等

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