妊娠中の食事で心がけたいこと【管理栄養士コラム】

みなさんは妊娠中の食事といえばどのような食事を思い浮かべますか?
「制限が多くて好きなものが食べられない」「葉酸を多めに摂るようにする」など、普段の食事以上に気を遣うイメージがありますよね。
大切な赤ちゃんの成長を思うと、より神経質になってしまう方も多いと思います。
そこで今回は赤ちゃんの成長、そして母子健康のために気をつけるべき食事のポイントをご紹介します。

 妊娠したら気を付けるべき食事のポイント

毎日の食事ではどのようなことに気をつければいいのでしょうか。
基本的なポイントを抑えていきましょう。

   規則正しくバランスよく食べる

まず大切なのが、1日3回、決まった時間に規則正しく食べることです。仕事や育児に追われる現代のママたちにとって意外と難しいこの「規則正しく食べること」は、妊娠中とっても大切です。なぜなら食事の間隔が空きすぎると空腹感が増し、結果食べ過ぎの原因となってしまうから。
また赤ちゃんに十分な栄養を与えられるよう、栄養バランスも意識しましょう。食材の偏りに注意し、主食、主菜、副菜、牛乳・乳製品、果物を揃えるのが理想的です。

   塩分は控えめに

塩分のとりすぎは妊婦に限らずよくありませんが、特に妊婦の場合、むくみや妊娠高血圧症候群を引き起こす原因になりかねません。日本人の食事摂取基準(2020年版)の妊婦における食塩相当量の目標量:6.5g未満となっています。普段濃い味つけが好きな方は、塩分を減らすと物足りなく感じることもあるでしょう。意識して薄味に慣れていくことが大切です。

   つわりがあるときにおすすめの食べ物

妊娠中、食事に最も影響を及ぼすと言っても過言ではない「つわり」。人によってはつわりの症状も様々で、食べられるものも大きく異なります。そんなつわり時におすすめの食べ物とは何があるのでしょうか。

■水分が多いもの
様々な症状がある中で、どのようなタイプの方でも比較的食べやすいと言われているのが、「水分が多いもの」です。トマト、すいか、いちごなどは水分量が多く、さっぱりしていておすすめ。栄養の不足も補えます。他にも豆腐やゼリーなど、喉ごしが良いものも食べやすいですよ。

■冷たい食べ物
特に「におい」に敏感になっている妊婦。そのため、温かいものや湯気のあるものが苦手になってしまうケースが多くあります。冷たい食べ物は匂いを感じにくいため、普段常温で食べるものも冷やして食べると食べやすくなるでしょう。果物など冷凍しても美味しく食べられるものは、シャーベット状にして少しずつ食べるのもおすすめです。

酸味のあるもの
グレープフルーツやレモンなど、妊娠中に酸っぱいものが食べたくなるという話は聞いたことがあると思います。酸味の強い食べ物を食べると気持ち悪さが軽減すると感じる方も多いようです。柑橘系のフルーツにくわえて梅干しや、酢の物などもおすすめですよ。

   積極的に摂りたい栄養素

お腹の赤ちゃんを健康に育てるため、妊婦には特に必要な栄養素というのがあります。それらは何か、そしてどのような方法で摂取すべきかをご紹介します。

葉酸
葉酸は、胎児の発育にとって最も必要な栄養素の一つです。特に赤ちゃんの神経管が閉鎖する妊娠6週頃までの期間摂取することが重要とされています。神経管とは、脳や脊髄、中枢神経系にとって重要な器官。葉酸を十分に摂取することで、発達異常である神経管閉鎖障害リスクを減らすことができます。
妊娠初期から必要な栄養素のため、妊婦に限らず妊娠を希望している女性にとっても実は欠かせない栄養素なんですよ。枝豆、ほうれん草、のり、納豆などに多く含まれていますが、必要量が多いためなかなか意識して摂取するのが難しい場合は、サプリメントを併用してもいいでしょう。


血を作るのに必要な鉄は、妊娠初期はもちろん、赤ちゃんの成長に伴い必要量が増える大事な栄養素です。またそういった理由から、妊娠中期以降は母体も貧血になりやすくなります。ですので特に妊娠中期以降は意識して摂取するのがおすすめ。鉄を多く含む食材にはあさり、小松菜、大根の葉などが挙げられます。

カルシウム
赤ちゃんの骨や歯などを作るのに必要な栄養素です。日本人の女性が不足しがちな栄養素でもありますが、鉄と同様、特に妊娠中期以降に必要となります。カルシウムが不足するとそれを補うように母体の骨からカルシウムが溶け出してしまい、結果母体の骨が脆くなってしまいます。牛乳、大豆、青菜類などカルシウムを多く含む食材をたっぷりとりましょう。

たんぱく質
筋肉や臓器など、体を作るために重要な栄養素であるたんぱく質は赤ちゃんにとっても必要です。栄養素が偏らないように特定の食品からだけではなく、さまざまなたんぱく質が含まれている食品をバランスよく摂取することが大切になります。良質なたんぱく質を多く含んでいる肉や魚、卵、大豆食品を上手に食事に取り入れたいですね。

   注意・控えたほうが良い食品

■レバー
前述した鉄を多く含む食材として知られるレバー。レバーに多く含まれるビタミンAは、皮膚や粘膜、目の健康維持に欠かせない栄養素ではありますが、同時に脂溶性ビタミンのため、体内に蓄積されやすいという特徴があります。そのため過剰摂取には注意が必要です。妊娠中の過剰摂取は赤ちゃんに影響が起こることもあるので、鉄が必要だからといってレバーだけを取り入れるような極端な食事は望ましくありません。

■まぐろや金目鯛などの回遊魚
よく妊婦さんは刺身やお寿司は控えるべきだという話を耳にしますが、それは魚に含まれている水銀が赤ちゃんに影響する可能性があるためです。水銀量の多い魚に、まぐろや金目鯛、めかじきなどが挙げられますが、対的に食べてはいけないというわけではありません。
魚は良質なたんぱく質を含んでるだけでなく、EPA・DHAや、カルシウムなども摂れる優秀な食材です。水銀の含まれていない魚と交互に食べたり、間隔を空けて食べるなど食べ方を工夫し、大量・過剰に摂取しないよう心がけましょう

■加熱していない魚や肉、チーズ
加熱していない食材を食べることの1番のリスクは、食中毒の可能性です。赤ちゃんへの影響が心配されるだけでなく、使える薬剤が限られる妊娠中の食中毒はとても危険と言えます。食中毒の原因の一つにリステリア菌という菌がありますが、妊娠中は一般の人よりもこのリステリア菌に感染しやすいと言われています。加熱殺菌していないナチュラルチーズや生ハム、スモークサーモンなどに存在する可能性が高いです。またリステリア菌は、塩分に強く冷蔵庫でも増殖します。神経質になりすぎる必要はありませんが、冷蔵庫の食品は期限内に使い切ることを心がけ、日常的に食中毒リスクを下げておきたいですね。

 まとめ

いかがでしたか?妊娠中を通して気を遣うべきポイントもあれば、時期によって必要な栄養素が異なったり、「なかなか大変だなぁ」と感じた方も多いかもしれません。
食事に気を遣うことはもちろん大事ですが、それを原因にストレスを感じてしまうのはよくありません。妊娠中も食事を楽しむため、お気に入りメニューを見つけたり、サプリメントを活用したり、自分に合う食事を見つけましょう。

【参考文献】
妊娠中と産後の食事について(厚生労働省):https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/
kodomo/kodomo_kosodate/boshi-hoken/ninpu-02.html
若い女性の「やせ」や無理なダイエットが引き起こす栄養問題(e-ヘルスケアネット・厚生労働省:
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-006.html
葉酸とサプリメント -神経管閉鎖障害のリスク低減に対する効果(e-ヘルスケアネット・厚生労働省):
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-002.html
日本人の食事摂取基準(2020年版)(厚生労働省):https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/
kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kijyun.html

管理栄養士・ HITOOMOI

管理栄養士・ HITOOMOIフードコーディネーター・管理栄養士

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「ヒトオモイ=人想い」大切な人を想う気持ち。それがヒトオモイ。「ヒトオモイ=一思い」その気持ちを、ただ一つ思い続ける。それがヒトオモイ。
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