スパイスとハーブの嬉しい効果と役割~ひと振りで料理上手!お薦めレシピ紹介~

料理の風味づけや色づけに使われる、スパイスハーブ。お店に行くとさまざまな種類があって思わず迷ってしまいますが、皆さんにはどれかお気に入りのものはありますか?

いわゆる『香辛料』と呼ばれるスパイスや、『香草』と呼ばれるハーブは、今や世界中の国々から店頭に集められています。普段あまり料理はしないという方でも、「わざび」や「辛子」、「しょうが」や「にんにく」、「しそ」などのおなじみのものならよく口にしているという方も多いのではないでしょうか。

今回は、そんなスパイスとハーブが持つ嬉しい効果や食卓への役割についてみていこうと思います。「風味の強いものはあまり得意ではない」「買っても使い切れるかどうかが心配」という方にも気軽にお試しいただけるよう、毎日の献立への上手な取り入れ方なども少しご紹介していきますね。また、公開中のおすすめレシピとともに楽しんでお料理づくりにお役立て下さい。

 『スパイス』ハーブとはなにか

知っているようでいて意外とわかりにくいのが、スパイスとハーブの違い。いったい何がスパイスで、何がハーブなのか、イメージすることはできますか? これについては現在さまざまな定義があるようですが、一つには、たとえば言葉のもともとの意味からも推測することができます。

ハーブ(herb)

「ハーブ」という言葉は、もともと「草」を意味する語からきています。
つまりこの言葉が生まれたヨーロッパで身近な所に生えていた「草」が、ハーブと呼ばれるようになったというわけです。
料理に加えるのはもちろん、お茶にして飲んだり、薬として使われたりと、昔からさまざまな役に立つ草が人々の生活を支えてきました。

スパイス(spice)

それに対して、「スパイス(spice)」の方は、もともと「遠方から運ばれてくる品物」という意味を持つ言葉でした。つまり遠くの土地からはるばる運ばれてきた特別な品物が、スパイスだったというわけです。
生のままでもよく使用されるハーブとは異なり、運搬や輸送に時間のかかるこれらスパイスは、かさを減らし、さらに日持ちを良くするために、乾燥した保存のきく状態にされたものが多いのが特徴です。

現在もこうしたスパイスやハーブには大きく分けて生のもの乾燥させたものとがあり、形状も、粉(パウダー)状だったり、ホール(丸ごと)だったりと、用途に応じてさまざまなタイプのものを買い求めることができます。

 食の知恵としてのスパイス、ハーブ

さて、このようなスパイスやハーブは、私たちの食卓にどんな素敵な効果をもたらしてくれるのでしょうか。

スパイスやハーブがこれほど人気になった最大の理由は、やはり何よりもそれが「料理を美味しくしてくれる」ものだったからです。これは単にできあがりの風味が良くなるといったことだけでなく、肉や魚の臭みを消したり、食後の後味を良くしたりと、かなり実用的な面にまで及びます。

実際、人間の食生活を振り返ってみると、かつては新鮮な食材が手に入らないことも少なくなく、こうしたスパイスやハーブが持つ殺菌作用防腐効果は(地域を問わず)古くから大変に重宝されてきました。しかもスパイスやハーブにはそれぞれ特徴的な風味や色味があるため、それを使った料理を味わうことで、心身のリフレッシュ効果が得られたり、食欲の増進血行の改善、あるいは整腸作用が期待できたりとさまざまなメリットを得ることができるのです。

素材そのものの味を引き立てたり、料理をメリハリのある味わいに仕上げたりするのも、スパイスやハーブの得意技のひとつ。何か1種類を肉や魚に振りかけてシンプルに焼き上げるのもいいですし、冷蔵庫に余っていた食材を集め、数種類のハーブやスパイスで風味づけして煮込んでも複雑な味わいが生まれて美味しくなります。ひと振り加えることでさらに洗煉された料理を完成させることができる、それもスパイスやハーブが持つ大きな魅力だと言えます。

さらに、食の選択肢が数多くある現代では、塩分の摂取過多が大きな問題となっています。そんな時でも、スパイスやハーブは料理の味わいに満足感をもたらし、少ない塩分でもごちそう感のある味に仕上げることができる優れもの。そのほか使い方次第で料理をより豪華に感じさせたり、味つけのマンネリ化防止などにも役立ってくれます。

 スパイスとハーブの気軽な使い方

それでは、そんなスパイスやハーブはいったいどんな風に使うのが良いのでしょうか? これには特にこれといった正解はありません。ただひとつ言えるのは、こうしたスパイスやハーブは少量でも風味が強いものが多いため、入れるのはほんのひと振りから、まずは控えめに加えるのが良いということです。

先に述べたように、スパイスやハーブには大きく分けてパウダータイプとホールタイプのものがありますが、初めて料理に使うのであればパウダータイプのものをひと振り加えて試してみるのがいいかもしれません。粒子が細かいパウダータイプは食材となじみやすく、風味も少量ならやわらかいのでお気に入りのものが見つけやすいからです。

どんな食材や味つけと相性が良いのかは、市販の瓶などにもだいたいの特徴が書かれています。とはいえ、新たに買っても使い切れるかわからないと不安な場合は、さしあたり身近で親しみのあるものを活用するのもいいですね。たとえば、「ブラックペッパー」や「にんにく」、「しょうが」、「しそ」、「柚子胡椒」、「コチュジャン」、「マスタード」など、そのまま何かにつけて(あるいは添えて)食べられるものなら手軽に取り入れることができそうです。

手軽に取り入れるおすすめレシピ

牛焼き肉と季節野菜の吹き寄せ風♪柚子胡椒たれ(柚子胡椒)
ハトムギとたたき長芋の鶏だし梅スープ(しそ)

ハーブにチャレンジ!おすすめレシピ

ハーブ類に挑戦してみたい場合には、最初はあまり香りが強くなく、そのままサラダに振ったりマリネ液に混ぜたりするだけでも美味しいものを選ぶのがおすすめです。たとえば比較的風味のやわらかい「バジル」や「オレガノ」、「パセリ」などなら、油分や酸味、トマト味などともよく合いますし、ピザなどに振るだけでも香りや色味が引き立ちます。

生ハムと大根のマリネサラダ(オレガノ)
大人なたまごサンド(イタリアンパセリ)

煮込み料理に加えるおすすめレシピ

スープやポトフ、シチューなどの煮込み料理に加えると、それだけで仕上がりが美味しくなるものもあります。「ローリエ」や「ガーリックパウダー」、「ブラックペッパー」などです。肉類や野菜を比較的短時間煮ただけでも深い旨みが生まれ、いろいろな具材と相性が良いので揃えておくととても便利です。

豆と根菜の具だくさんおかずスープ(ローリエ)
サバ缶ミートソース(ローリエ、オレガノ)

食欲をそそるチャレンジレシピ

最後に、スパイスやハーブはあまり使い慣れないけれど、何か新しいものに挑戦してみたいという時におすすめなものもいくつか。カレーの香りのもととなる「クミン」は、肉や魚、野菜などに振って炒めたり焼いたりするだけでも美味しいひと皿になります。また、赤い色合いが鮮やかで風味にも特徴のある「パプリカ」は、彩りとしても使える便利なスパイス。いずれも辛くはないのに食欲をそそるスパイシーな風味があるので、お子様からお年寄りまで幅広くお使いいただくことができます。

しっとり鶏むねローストチキンの春にんじん添え(クミン・パウダー)
3色テリーヌ♪鶏・豆腐・野菜deヘルシーおもてなしレシピ(パプリカ)
 お気に入りのひと瓶を見つけよう

スパイスやハーブは、料理をする上では必ず使わなければならないというものではありません。けれど、やはりあると料理の腕前がグンとアップしたように感じられるとても便利なもの。ぜひ皆さんも、ひと振りするだけで雰囲気が変わるお気に入りのひと瓶を見つけて、おうちにいながらどこかへお出かけしたような、そんな素敵なひとときを過ごしてみてくださいね!


以下の『忙しい毎日の献立に野菜を盛り込むコツと工夫~おすすめ調理・レシピ紹介~』の食コラムもご参考頂けれと思います。

料理/食文化研究家・庭乃桃さん

料理/食文化研究家・庭乃桃さんMeal Partner_Food Culture Researcher

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大学院でヨーロッパ地域の歴史・文化を専攻し、現地へ留学。
企業向けレシピの開発やスタイリング・撮影を手がけるほか、書籍・コラムの執筆や、翻訳、講演など多方面で活動中。

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