食ZENコラム『食前 五観の偈』

今回の食ZENコラムでは、食事に向き合う姿勢を仏教の教えからお伝えしたいと思います。

『五観の偈』とは主に禅宗において食事の前に唱えられる言葉です。中国から伝わり、日本では曹洞宗の祖・道元禅師 (1200~1253年)が紹介したのち、広まったとされています。食は正に命です。食べなかったら、人は生きていけません。だから、食べる、命としていただくものを吟味していただきますが、まずは何より感謝の気持ちが大事です。 ここに「五観の偈」という、食前に唱える言葉があります。

一つには  功の多少を計り 彼の来処を量る( 計功多少 量彼来処 )
これは、お膳に運ばれて来るお料理がどれだけの人々の苦労の結果、運ばれて来たかということを考えよ、ということです。農業で働く方もおられれば、海で働く方もおられます。生産にたずさわる方々のことです。それから流通にたずさわる方を経て、買い物をし、料理をする。それらの末に食事は出来上がるものですから、感謝していただきましょうということです。

二つには 己が徳行の全闕と 忖って供に応ず 忖己德行 全缺應供 )
これは、自分の行いが良いか悪いか、完全か欠点があるかを自己反省して、その食事を頂くだけの自分であるかをよく考えよ、ということです。働かざる者食うべからずということと通じます。

三つには 心を防ぎ 過貧等を離るるを宗とす ( 防心離過 貪等為宗 )
三毒の煩悩(ぼんのう)、怒り、貪り(むさぼり)、愚痴があります。人間は腹が立つとからだの中から悪い分泌物がでると言われます。あんまりにも腹が立っていると食べものも受けつけられません。ある実験では、人間が怒ったときの息を試験管に吐き入れ、液体窒素を中に入れると、その息が茶褐色になるそうです。それを溶かしてモルモットなどに与えると死んでしまうそうです。怒ったときにはそういう毒が出ているということ。で、笑ったときは色が違うようです。だから、食事はそういう怒りをなくす為にもいただくということなのです。

四つには 正に良薬を事とするは 形枯を療ぜんが為なり ( 正事良薬 為療形枯 )  
食事は良い薬として食べよということ。食事は薬と思って食べなきゃいけないということです。ですから、薬と同じように内容と分量が大事ですね。それと、食べる時・時間が大切です。だから、薬を飲むように食事をいただきましょうという意味があります。

五つには 道業を成せんが為めには 当に此の食を受くべし ( 為成道故 今受此食 )
食べ物を頂くことは、人間完成、自己実現、そういったことを目指していただくことであって、立身出世が目的ではないということです。食事というものは命を支える大きな力ですから、他の命をいただくからには、人間としてより素晴らしいことをしなきゃならないという教えです。人間は万物の霊長です。霊とは魂、心でもあります。その最大のものは無我になるということです。一生かかってもなかなか出来ませんけども、永遠なるものを求めて永遠に努力する。それが菩薩の姿といわれます。「求むれば求むるほど菩提への道は愈々(いよいよ)遠くなる。されどこの道を行く。」と。目的を彼方に、より真で、より善く、より美しく、より聖なるもの。真善美(しんぜんび)を追求して生きて行けるのが人間です。向上心を持ってより望ましい人間になろうとする。それを大いに発揮するために食事をいただくということなのです。

ご自身が食事をする際に、そして大切な人と大切な家族と食事をする際に、ぜひこの五観の偈の教えを意識してもらえたら、よりよい食事にとなると思います。

そして食事おわりに「ごちそうさまでした」と、手を合わせることも忘れずに。『合掌』

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