食事のおいしさは五感・六処でつくられる

美味しいものを食べたい。食事をおいしく楽しみたい。その探求心はつきません。このコラムでは、おいしさを感じる要素をさまざまな角度から研究したいと思います。

おいしさを感じる五つの味覚(五味)∞

食べ物には風味があるためおいしく楽しく食べられます。
その風味の基本となるもの考え方として1916年、ドイツの心理学者ヘニング氏が甘味酸味塩味苦味の四基本味説を提唱。その後、昆布に含まれるグルタミン酸の旨味成分を池田菊苗博士が発見し、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の五つが生理学的な五基本味となりました。味以外の感覚としては、渋み、涼み、辛み、しびれ等を感知することができます。また脂肪味や金属味やカルシウムの粉っぽい味を識別できることを考えるとこれから発見される味覚はあると思います。多くの食に関わる方々がこの味覚をより良くするために食のおいしさを追求しています。

五感でおいしさを感じる ∞

さて、私達人間は食べ物を味覚だけでおいしいと判断はしません。風味と言われるように食べ物の味と匂いの組み合わせ、そして他の感覚器官からの情報と結びついて、快い体験をします。食べ物を口にする時、味覚嗅覚触覚聴覚視覚の五感を通じて食べ物を認識します。舌で感じる味覚以外に、ベーカリーの香ばしい香りや柑橘類の酸っぱい香り・スパイシーな香りなど鼻で感じる嗅覚。料理の固さや柔らかさ・ふわふわ・パリパリ・ネバネバなど歯や舌で感じる触覚、鍋のグツグツした音や肉のジュージューと焼く音、炭酸のシュワシュワ音など耳で感じる聴覚、食材の形や料理の艶や色、それを盛り付けている食器等を目で感じる視覚。

味覚だけがおいしさを感じているのではなく、このように私たちは毎回食事をするたびに五感をフル活用して料理を味わっています。この五感を意識しながら料理や食事をすることで、いつもの食事がより一層おいしく感じることができます。

ここで、実験データに基づくおいしいと感じる五感の割合をお伝えします。五感が感じる割合は、視覚83~87%聴覚7~11%触覚1.5~3%嗅覚2~3.5%味覚1%となります。実は味覚からおいしさを感じる割合は五感の中で一番低く、一番感じるは意外にも目で見る情報の視覚なのです。

料理を食べる前から「おいしそう」と感じたり、食べ物の鮮度や安全性を目で判断していますので、視覚から受ける情報が料理のおいしさを大きく左右しています。

日本人は多くの食材を元の形を残して食べる文化があり、色と形を楽しみます。食欲を刺激する食材の色としては、黄色などの暖色系の色であり、逆に食欲を減退させる色として、黄緑灰色などがあげられます。

食材の色味はもちろん大切ですが、料理にはそれを彩る食器も重要です。黒い食器には食材の色を際立たせる効果がありますし、縁起色とされる赤には食欲を亢進させる効果があります。

いつもの食生活をより豊かにしていただくために、視覚を意識した食卓づくりをおすすめします。そして五感をフル稼働させて食事を楽しみましょう!

おいしさを感じる要因とは ∞

五感で食事のおいしさを感じることを伝えてきました。ここからはそれ以外の要因がもたらすおいしさの要素を見てみたいと思います。

1.おいしさを感じる要因
おいしさを感じる構造・要因を京都大学・名誉教授、伏木亨氏は4つあげられています。

  • 生理的要因:自分の体が求めているものはおいしく感じる。良くない生理状態に置かれた時、それを戻そうとする食品はおいしいと感じる。(運動後の水、絶食後の食事、お風呂上りのビールなど)
  • 文化的要因(食べなれた味):子供の頃から食べ慣れている味や地域の味、家庭の味はおいしい。(地域の食文化や郷土料理、宗教上の食など)
  • 情報要因:著名人の紹介料理や人の噂、値段情報でおいしさを感じてしまう。(TV・CMで紹介された食品や高価格ワインなど)
  • 薬理的要因(やみつきの味):「うまみ(アミノ酸)」「砂糖」「油」が含まれた食品、つまりタンパク質とデンプンと脂質の三大栄養素となる食品は生命維持にとって好ましく「おいしい」と脳が感じるようになっている(チョコレートやお菓子、ラーメンなど)

4つの全然違う分野のおいしさの要因があって、人間はその4つのおいしさに照らし合わせながら自分にとってのおいしさを判断していると言われており、うなずけます。身体的(内的)なことだけでなく、外的な環境要因にも、おいしさは左右されています。私達の周りにはおいしさに影響する要因があふれていますね。

2.食環境(感覚)の要因

  • 食事をする環境:食事の感覚的満足割合を100%とした場合、料理自体の割合は5%、食器・カトラリーは25%、残りの70%は食空間の環境(食卓・ロケーション・温度など)と言われます。これはインテリアのカラーコーディネートの割合である、ベース7:アソート2.5:アクセント0.5を意識することと同様と考えます。おいしさに大きく影響を与えるベースとなる食空間を整える必要がありますね。
  • 心理的な要因:感情・緊張などの心理状態によって、おいしさは左右されます。食事の前にリラックスできる心理的なコントロールや、食事自体で適切な心理的状態に導いてあげることも大切ですね。

参考文献:おいしさの科学がわかる本、食べ物のしくみとはたらき図鑑、美しい洋食器の世界、五感刺激のブランド戦略、いろはに食養生

おいしさの研究まとめ ∞

おいしいと知覚することは、食べ物側の要素を五感で感じることと、食べる人側の要素が統合された結果だと考えます。ZENを考える筆者は、仏教で伝わる考え方に通じていると感じます。人間存在の仕組みの原理となる『十二支縁起』の中に『六処(六根とも)』があります。六処とは「」という5種の外的器官とそれらと密接に結びつきながら,意識をもたらす内的器官の「」の6つの感覚機能のことです。食事をおいしいと感じるのは5つの器官機能と脳の意識作用が影響しあうのだと思います。食事を一緒に過ごす方の「意」はどのようなものかを知っておくことで、おいしい食事が重ねられていくと思います。

最後に・・・おいしさを追求することも重要ですが、やはり、「食べてくれる人のことを思ってつくるから、おいしい」「作ってくれる人のことを思って食べるから、おいしい」という本質を忘れずに毎日の食事を楽しみたいですね。

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