『過食症-摂食障害』ー栄養カウンセリング・食の悩み相談事例【薬剤師コラム】

栄養カウンセリングを日々お受けする中で、女性の体調に関して、食の悩みや栄養面の相談が寄せられます。その中でも、今回は、摂食障害のひとつである『過食症』を取り上げたいと思います。

近年、強い痩せ願望によるストイックなダイエットや様々なストレス環境により、摂食障害の患者さんは増加傾向にあります。本コラムでは摂食障害の中でも、過食症の原因や克服方法についてご紹介させていただきます。

 過食症とは

臨床では、『神経性過食症』といわれ、摂食障害の一つです。

過食症状が衝動的に起き、短時間で大量の食べ物を食べることが特徴です。

神経性過食症の中には、太るのを回避するため、排泄行為(下剤の乱用や過食後の嘔吐など)や代償行為(過食を帳消しにするための絶食や過度な運動)を伴うものもあります。

摂食障害は「神経性過食症」と「神経性やせ症(拒食症)」に分けられますが、摂食障害の患者数は、1970年代から増加しており、過食症の有病率は1.5~2%拒食症の有病率は0.9~2.2%といわれており、特に都会に多い傾向があります。

自分の意志で食欲をコントロールできないため難しい病気ととらえられていますが、治療することで良くなっていく病気です。

 過食症と食べすぎは違う?

過食症と食べ過ぎは一見似ているようにもとれますが全く違う症状です。
大きく異なる点は・・・

・食べているときに美味しいと感じているか(感じていないと過食症)
・食べたあとに強い罪悪感があるかどうか(罪悪感が強いと過食症)

となります。

過食症は、最初は「食べたい」「美味しい」と感じていても、満腹になってもまだなお食べ続け、最終的には味わって食べることはなく、苦しくなるまで止めることのできない一種の自傷行為にあたります。

また、食べた後の罪悪感が非常に強く、過食後にパニック障害を併発する人もいます。

 過食症の原因とは

<過食症の主な原因>
 *ボディーイメージの歪み
 *家庭環境によるストレス
 *職場や学校など人間関係のストレス 等

近年、細いモデルさんへの憧れや「痩せている=キレイ」という固定概念などで、痩せ意識が強く、ストイックなダイエットを経て摂食障害になってしまう若い女性が後を立ちません。
フランスを始め欧米諸国では、痩せすぎのモデルさんを雇用すると罰則があるなど、誤った美意識を改善するための対策もとられているほどです。

またダイエットがきっかけでなくても、脳内の生物学的要因、心理的要因、社会的要因が複雑に絡み合い発症すると考えられています。

 過食症の診断
過食症の診断

以下のようなむちゃ食い行為や代償行為の頻度が少なくとも3ヶ月にわたり週に2回以上ある場合、過食症と診断される可能性があります。

✅むちゃ食い行為がある
 食べたいという欲求を抑えられず、短時間に大量の食べ物を過食する。
✅代償行為
 食べた罪悪感から嘔吐、下剤・利尿薬の乱用、絶食をする。

 過食症に合併して起こる症状

過食症は、食欲をコントロールできなくなるだけでなく、様々な合併症状を引き起こす場合があります。

・月経不順 ・便秘 ・低血圧 ・脱水 ・浮腫 ・電解質異常 ・肝機能障害 ・総コレステロールの上昇 ・低血糖 ・骨密度の低下 など

私達は口から摂取した食べ物を材料にホルモンを合成したり、体が正常に機能するためのエネルギーをまかなっています。

これらの食べ物が多すぎても少なすぎても、健康に支障をきたしてしまいます。

上記の中でも特に多くみられる症状が、ホルモンバランスの乱れによる月経不順糖代謝異常による低血糖症状です。
月経不順は、若いときは気にならなくても、将来不妊症の原因になってしまいます。
低血糖症状は、強い空腹感、脱力感、疲労感を伴うため、それを解消するためにまた過食してしまうという負のループに陥ってしまうことがあります。

 過食症の克服方法

過食症の原因が様々あるように、克服方法も人によって様々です。
ここでは、よくご相談を受けるケースについてご紹介いたします。

   ケース:食事以外のところに不安がある

不安感が強いと、脳が危機的な状況と察知して、不安感から逃れるために過食衝動が起こることがあります。不安感が強い人の過食衝動の特徴は、「食べているときは無心になれる」という感覚があることです。

この場合、食事をどれだけ改善しても、心で積もっていく不安が大きくなると、過食衝動が起きてしまうため、不安を解消することが一番の克服方法になります。

不安を解消するためにまず実践できることは、自分が不安を感じていることを自覚することです。

・不安はいつ起こるのか
・何に対しての不安なのか(お金、人間関係、体型等)
・それは事実なのか自分の解釈なのか。
を不安感が強いときに頭で考えるのではなく、紙に書いて視覚化することがおすすめです。

例えば、「今日上司が怒っている感じがした。」というのは自分の解釈なので、本当に怒っているかという事実は、自分の中では考えてもわからないことです。

不安を自覚し、不安の要因・原因がわかったら、『現在抱えている不安は自分でコントロールできることなのかを考え、コントロールできる自分の行動に焦点をあてます。』

「人が怒っている感じがすることに対して、他人をコントロールすることはできない」ので、怒っていること以外に目を向ける、なるべくその人とは接しないようにする、他の従業員にも相談してみるなどの行動で、不安を解消していきましょう。また原因は他人のせいではなく、「自分の視点や行動を変えることで解消できないか?」と考えることで、気持ちが前向きになり行動を変えていくことができます。

このように不安からくる過食衝動が起こる方は、不安ひとつひとつを解決していく必要があります。

   ケース:禁止食品がある

自分では意識していなくても「禁止食品」があり、それを無意識に避けるうちに、我慢が重なり過食へと移行するケースがあります。

例えば、日頃、「太るので甘いものを食べない。食べたくない。」と避けているものの、心のどこかで欲しており、その我慢が爆発すると過食時に「甘いもの」を大量に食べてしまうといった行動がみられます。
このように、禁止食品がある人の特徴は、「非過食時には口にしないものを、過食時に大量に詰め込んでしまう」傾向があることです。

その人の禁止している「甘いもの」が体の栄養にならなくても、「脳」や「心」に幸福感をもたらす栄養になります。
幸福感が不足すると、脳が危機感を感じ、どうにかして報酬系を満たそうとします。

この禁止食品による過食がある方は、以下のような取り組みをして、禁止食品を食べることに対する罪悪感を少しずつ減らしていくことが大切です。「食べてはいけないものはひとつもありません。」

◇食べ物以外に幸福感を満たす手段を探す
 ⇒音楽鑑賞、入浴、ウォーキングなど
◇禁止食品を非過食時に少しずつ増やしていく
(絶対食べてはいけないと決めていても過食時に大量に食べてしまっては、体はより悲鳴をあげてしまいます。)
◇朝なら食べてもいいことにする
◇1日に2~3つあえて食べる
◇誰かと一緒にその食べ物を食べる空間を楽しむ

 終わりに

今回は「不安感」と「禁止食品」からくる過食の克服方法についてご紹介しましたが、過食症と一口にいっても、「栄養欠損」や「親子関係」など、原因・症状・克服方法は人によって様々です。

摂食障害は、罹患する期間が長ければ長いほど、不妊症、骨粗鬆症や糖代謝異常など過食症が治った後も後遺症が残る可能性がある軽々しくは扱えない病気です。

また過食後の強い罪悪感は、”生きているのが辛くなる“くらい、深い悲しみに苛まれ精神状態に支障をきたします。

決して一人で解決しようとせず、早めに専門家に相談するようにしましょう。


今回ご紹介した摂食障害以外にも、栄養カウンセリングをしていると『便秘』に関する相談も多く寄せられます。以下コラムでは、便秘解消の栄養素や食材、生活習慣のポイントをご説明しています。便秘に悩まれている方は、ご覧ください。

薬剤師-栄養カウンセラー・冨尾ありささん

薬剤師-栄養カウンセラー・冨尾ありささん(一社)インナービューティープランナ-

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薬剤師の経験と栄養の知識を通じて「共働きのお母さんの幸せを叶える」ことをミッションに活動。
薬学と栄養学で顧客の美容・健康計画を叶えるだけでなく、調和のとれた豊かな暮らしをサポートする起業支援に従事。単なる起業支援ではなく、「魅力的に年を重ねるライフスタイル」をトータルサポートしている。
フルタイム勤務しながらフリーの仕事である料理教室・栄養セミナー受講者は1年で600人、カウンセリング薬局のべ5000人

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