シークヮーサーの魅力と栄養・効能

果実そのものの機能性に関して特許が出された稀有な食材としても注目されている『シークヮーサー』。その魅力と栄養価・期待される効能、そして摂取方法などをお伝えいたします。

   シークヮーサーとは       

シークヮーサーは、沖縄県北部地域(やんばる)に昔から親しまれ、柑橘系の原種です。古くは不老長寿の薬とされたタチバナとシークヮーサーが日本に原生していたと文献に記されています。和名は「ヒラミレモン」ですが、シークヮーサーの名称が通り名です。(農林規格ではシイクワシャー)名前の由来は沖縄の方言で「シー(酸っぱい)」、「クヮーサー(食べさせる)」の意味があります。食欲のない時に食べる果物であり、健康長寿の秘訣であると言える食材の一つです。

   シークヮーサーの生産と旬の季節
【生産量(推移:グラフ参照)】

2015年以降は台風被害で収穫差はあるものの3,000トンを安定的推移しており、2020年度は立ち枯れ被害が発生しながらも開花が良好で約3,400トンの見通しです。

【生産地域】

生産地域は北限が奄美、南限が台湾と狭く、日本では沖縄県の生産量が99%を占めています。沖縄県の中では、大宜味村や名護市、本部町の北部に集中しており、中でも大宜味村がシークヮーサー生産量で県内約60%を誇り、沖縄一のシークヮーサー産地です。大宜味村は長寿の里として有名で、2020年現時点で大宜味村の人口2932名のうち、85歳以上の方が250 名程(人口比8.5%)で、市区町村別平均寿命表の上位の村に比べ高い割合です。日常生活にシークヮーサーを取り入れる生活習慣があります。

【旬の季節】

1年間に3回シークヮーサーの旬があります。用途にあわせながら収穫時期をずらしています。
・8月後半から9月の旬:酸っぱい果実の果汁を刺し身や焼き魚に使用する青切り用。
・10月から12月中旬の旬:「原液ジュース用」水や、炭酸で割って飲むことが多く、泡盛にもよく合います。
・12月下旬から2月末の旬:黄色く熟し糖度が上がり「生食用」。

収穫時期が早く、未成熟な青切りや初しぼり時期の方がノビレチンなどの健康成分が豊富に含まれます。

   シークヮーサの栄養と効能

シークヮーサーに含まれる代表的な栄養素は、クエン酸、ビタミン、ノビレチンがあげられます。その他の成分としても、タンゲレチン、ヘスペリジンが注目を浴びており、まさに健康食材として注目されています。

シークヮーサーと同類の柑橘系果物の栄養素を一覧にしたのがこちらです。(日本食品栄養成分表および日本食品分析センターの数値をもとにしています)

【注目の栄養素】
 クエン酸 

疲れの元である乳酸の分解を促すため疲労回復に大きな効能を持つ栄養です。慢性疲労に悩んでいる人にとっては欠かせない存在です。ほかにも、血流改善、肩こりや腰痛、冷え性を改善する効果、肥満や生活習慣病を予防する効能などがあります。しかし、クエン酸は強烈な酸味があるため、酸味が苦手な人には摂取しにくい成分でもあります。
シークヮーサには、レモンの2.2倍、梅干しの1.6倍と多くのクエン酸が含まれています。

 ビタミンC 

ビタミンCは、美肌作用で知られている栄養で、お肌の新陳代謝を活発にしてメラニン色素を排出しやすくする働きのため、美白の効能が高い栄養素です。抗酸化物質であるため、若々しく病気になりにく体をつくってくれます。

 ノビレチン 

柑橘系の植物に含まれるフラボノイドの一種で、血糖値の上昇を抑える効果やメタボリックシンドロームを予防する効果、抗ガン作用、尿酸生産抑制、他にもアルツハイマー型認知症の予防やアレルギー抑制にも効果が報告されています。
シークヮーサには、みかんの11倍、かぼすの2倍ものノビレチンが含まれています!!

 タンゲレチン 

フラボノイドの一種で、苦みのある味の成分となります。抗酸化作用、抗炎症作用、抗腫瘍活性、神経保護作用として注目されています。

 ヘスペリジン 

ポリフェノールの一種で抗酸化作用や末梢血管を強化する作用が働きます。血流改善作用、血圧上昇抑制作用、コレステロール抑制、抗アレルギー作用(花粉症予防効果)として注目されています。

 (その他栄養素) 

・リラックス効果や免疫力向上、血圧の上昇を抑える効果の『リモネン』、
・脳の栄養素で記憶力を向上させる働きの『レシチン』は、認知症やアルツハイマー病の予防効果が期待できる。
・気管支拡張(のど風邪に効果)や脂肪の代謝促進、食欲の働きをおさえる『シネフリン』も含まれ、ダイエット食材としても効果が期待できます。

健康長寿に導く、多くの栄養価をシークヮーサは持ち、まさにスーパーフードともいえる食材の一つです。

   医食同源

健康によい食は病気を予防し、気になる症状をケアすることにつながります。シークヮーサーの栄養素が効果を発揮してくれることが期待されているお悩み・対策をご紹介します。(薬と併用される方や通院や食事制限をされている方は、摂取量に関してかかりつけの医師にご相談ください)

【記憶力が気になる方・認知症予防】

ノビレチンにはシグナル細胞情報伝達分子を活性化させる働きもあることから、アルツハイマー型認知症を予防する効果が報告され期待されています。

【糖尿病・生活習慣病予防(血糖値抑制)】

ノビレチンには、血糖値の上昇を抑える効果があります。またインスリンの分泌を抑える働きがあるため、糖尿病の予防効果が期待できます。

【アレルギー症状予防・花粉症対策】

アレルギー反応は体内のヒスタミン等の化学物質が放出されることで起こります。ノビレチンは、この化学物質の放出を抑制する働きがあるためアレルギーを抑制する効果があります。またヘスペリジンにも抗アレルギー作用があり、花粉症の改善に効果があります。アトピー性皮膚炎、気管支喘息などの、蕁麻疹などにも効果があるとされています。

【風邪予防(インフルエンザ)】

風邪の原因となる喉や鼻の粘膜の乾燥によるウィルス侵入をシークヮーサーの柑橘系特融の喉をうるおす作用とともに気管支の筋をゆるめる効果で呼吸を楽にします。喉の殺菌効果、発汗作用により風邪全般の予防・改善に効果を発揮します。

【美肌・美白対策】

天然のビタミンCが肌の細胞が錆びておこる老化現象を抗酸化作用でふせぎ、お肌のポリフェノールであるノビレチン・へスぺリジンがシワを作る物質を除去しメラニンの生成を抑える効果があります。

【肥満を防ぎたい方・ダイエット】

ノビレチンは、脂肪細胞の分化や脂肪細胞中の脂肪分解を促す働きがあります。また血糖値・血圧の上昇を抑える効果がありメタボ対策やダイエットに効果を発揮します。

【他にも驚きの効果・効能が研究されています】

【がんの予防】・・・日本癌治療学会において、ノビレチンのがん抑制効果が発表されています。ノビレチンをがん治療に使い抗がん剤量を減らすことで副作用も少なくて済むと期待されています。

【高脂血症の改善】・・・ノビレチンやシネフリンが血液中の脂肪を効果的に分解することで悪玉コレステロールや中性脂肪などの高脂血症の改善に効果が期待できます。

【リウマチ予防・改善】・・・リウマチの炎症をゆるめたり、リウマチに関係する酵素増加の抑制につながると期待されています。

【冷え性体質の改善】・・・ヘスペリジンには毛細血管を強化する働きがあり、身体の末端まで血流が促されることで冷え性予防につながることも分かってきました。

参考文献・サイト:農林水産省、大宜味シークヮーサーパーク、JAおきなわ、特産品が地域を創生する、沖縄シークワーサーのブランド化と地域振興、たけしの家庭の医学、J-STAGE-シークヮーサー果汁中のノビレチンの定量的分析

   シークヮーサーの摂取方法・レシピ
【シークヮーサーの選び方】

果皮に張りがあり、みずみずしさを感じるものがよいでしょう。持ったときに軽く感じるものは果汁が少なく、収穫してから日が経っている可能性があります。

シークワーサーは収穫時期によって酸味や甘みのバランスが違い、それによって用途が変わってきます。刺身や料理の酸味付けに使う場合は青いものを、生のままミカンのように食べるなら十分に黄色く熟したものを選びます。

【シークヮーサーの食べ方】

・青切りシークヮーサー:焼き魚や揚げ物に絞ってかけます。酸味が強いため、沖縄では刺身や焼き魚にかけたり、酢の物にしたり、醤油と合わせてお鍋のポン酢の代わりに使ったりと、スダチやカボスと同じような使い方をされています。

・完熟したシークヮーサー:十分に黄色く熟したものは程よく酸が抜け甘くなり、生で食べても美味しい状態になっています。

・シークヮーサージュースや原液・果汁:原液のものは、1日50ml〜80mlを目安に水や炭酸水で割って召し上がると良いと思います。焼酎、ウィスキーなどのお酒に加えると美味しいです。もちろん泡盛にも!

飲みやすいお薦めの割る分量は、 1:1:7=果汁:シロップ・蜜:水 です』

※シークヮーサーは、なるべく空腹時を避けてお飲みください。

【健康長寿・大宜味村における食し方】
お刺身にしぼりかけたり、醤油に丸ごと投入したり、シークワーサージュースを冷凍し一年中飲めるように工夫され、シークワーサー生活が生活に根付いています!

・シークヮーサーの健康成分ノビレチンは皮に多く含まれているので、絞る際に皮も一緒にギュッと強く絞るようにすると果汁と一緒にとる事が出来ます。
・青色の酸っぱいシークヮーサーは、甘みが増した黄色のシークヮーサーよりノビレチン含有量が高くなります。したがって収穫時期の早い9月収穫の初しぼりなどは含有量が高い傾向にあります。
・外国産は似た別品種のものがあり、ノビレチン含有量がかわります。沖縄県産表示をお薦めします。

 


  シークヮーサーレシピ

シークヮーサーを使ったレシピをご紹介します。お食事に取り入れていただければ幸いです。

シークヮーサーのハニー生姜ゼリー♪カラダを内側から温める
海ブドウとサーモンで海の幸サラダ*シークワーサードレッシング添え♪
島野菜サクナ(長命草)&アボカドディップ×サーモンのカナッペ
沖縄の魚タマン(ハマフエフキ)のムニエル*シークヮーサーバターソースレシピ
シークヮーサーのホットドリンク♪ぽかぽか&リラックス
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