かみにくい・飲み込みにくい方向けの食事【管理栄養士コラム】

食べ物を歯でかむ、そして飲み込む。一見簡単で当たり前にできることのように思えますよね。
しかし、高齢の方、小さいお子さん、様々な事情でそれが難しい人など、実は周りには、『かみにくい』•『飲み込みにくい』ために食事内容を気を付けないといけない方も多いのです。今回のこらむは、そのような方々に向けた食事についてご紹介します。

 「かむ」と食事

まずは「かみやすい」食事について。
歯が関係していることは想像がつきやすいですが、それだけではありません。詳しくお伝えしていきます。

   かんで食事をするのが難しい人の特徴

自分の歯でかんで「常食」と呼ばれる一般的な食事を食べるのが難しい人は、具体的にはどのような方なのでしょうか。


歯が少ない人
大人の歯は、人によりますが大体28〜32本。そして自身の歯が20本以上あれば、かんで食事を食べられる割合が高くなるというデータがあります。この20本以上保有している、という人数は50代から急激に減少していくため、50代以降歯に不安がある方は、食事を見直すタイミングが出てくるかもしれません。
また、赤ちゃんも乳歯が生えそろうのが3歳前後なので、1〜2歳は大人と同じ食事を食べることは難しく、具材を柔らかく調理した幼児食を別に用意します。

歯が痛い人
歯の治療中で硬いものが当たると歯が痛い人。

顎を動かす行為に疲労感を持つ人
加齢と共に噛む行為自体に疲労感を覚えてしまう、といった人。


このような方々に食事を用意する場合は、以下のような工夫を食事に施すことがおすすめです。

   かみやすい食事とは

かみやすい食事の具体的な特徴は以下の通りです。

・繊維質でないもの ・やわらかいもの ・筋がないもの ・弾力がないもの 

簡単に噛める、つまり歯が食材を噛み砕いたりすりつぶして小さいピースに分離できることがポイントですね。繊維や筋はなかなか噛みきれないですし、柔らかいようで弾力があるものも歯や顎の力がきちんとないと飲み込める形にするのが難しいのです。

   かみやすい食事のための食材

調理法によってぐっとレパートリーが増える「かみやすい食事」ですが、前もって調理に向いている食材も知って失敗を減らしましょう。

野菜

おすすめは『旬で新鮮な野菜』。柔らかく、筋張らないことが多いからです。そして何よりも味が濃く、食事が美味しく感じられるでしょう。もちろん春キャベツの芯など、野菜によって処理をしないとかみにくい箇所を持つものもあります。取り除いたり細かくするなど工夫しましょう。

肉・魚

お肉、お魚は調理によって美味しくかみやすい食事に調理できますが、こちらもなるべく新鮮で脂肪を含み、身が柔らかいものを選ぶようにしましょう。例えばささみは筋があるので注意。

注意

逆に、硬い、噛みきれない、繊維が残る、弾力があるなどしてかみやすい食事に向かない食品は以下のようなものです。これらの食材はレシピにはなるべく加えないようにしましょう。
きゅうり、たけのこ、ごぼう、ふき、セロリ、麺類、こんにゃく、もち、トマトや豆や鶏の皮・・・etc

   かみやすい食事のための調理方法

<具材の切り方、下処理の基本>
食べる人の噛む力の程度にもよりますが、食材は基本的には細かく・小さく切る、またはすりつぶしましょう。大きな具材でも柔らかく調理すれば食べる際に歯茎だけですり潰せますが、調理に時間がかかったり食べる人は顎を大きく動かさないといけない、細かい具材と比べると何回も噛まないといけない、など負担が大きいと言えるでしょう。

野菜の皮もしっかりむき、また、葉野菜は葉先を使うと繊維質が口に残ることも少なくなります肉の繊維は前もって包丁の背で肉の表面をたたき、断つと良いでしょう。そうすれば柔らかく仕上がりますよ。

<形成・形状の基本>
サラサラのものを口の中で噛もうとすると具材同士がバラバラと逃げ、まとめてかめません。とろみをつけたりなるべく形をまとめることでかむ負担が減らせます。
ポタージュ、あんかけ、カレー、卵とじ、ハンバーグ、つくねなどの形状は食べやすく、おすすめです。

<火の入れ方の基本>
火を入れる際の基本は『煮込む・蒸す』です。圧力鍋を使えば比較的短時間で食材が柔らかく調理できるので、持っておくと便利です。



 「飲み込む(嚥下)」と食事

飲み込みやすい食事とかみやすい食事は、気をつける点が似ており、かみやすい食事法をふまえた上で飲み込みやすい食事法を考えると良いでしょう。

   嚥下機能とは

飲み込むこと、つまり口の中から食道を通して食べ物を胃まで飲み下すことを「嚥下(えんげ)」と言います。嚥下機能はとても複雑で、多くの器官が関わっています。
加齢などにより、これらの器官の筋肉が弱る等すると「嚥下障害」という状態に。嚥下障害になると、うまく食べ物が飲み込めず、食事が十分に取れずに栄養失調や脱水症状になる恐れがあるだけではなく、誤嚥による窒息や肺に細菌が入ることにより肺炎になる等の可能性もあります。
嚥下障害の方の食事は、特に気をつける必要があると言えるでしょう。

    飲み込むのが難しい人の特徴

では、飲み込むのが難しい人はどのような特徴を持っているのでしょうか。


嚥下に必要な筋肉や神経が弱っている人
病気、病気の後遺症、加齢などで嚥下機能が低下した状態の人。加齢の場合は長い期間この障害と向き合う可能性が高いため、特に食事内容の見直しが必要です。

飲み込むのが痛い人
口内炎、舌炎、喉の傷などで飲み込む際に痛みを伴う人です。

心理的な原因で喉に違和感が生じている人
精神的なストレスで咽喉頭異常感症など、喉に違和感があって飲み込む行為が困難な人です。


   飲み込みやすい食事とは

飲み込みやすい食事のためには、かみやすい食事のポイントもおさえることが必要です。
その上で、飲み込みやすい食事の最大のポイントは『とろみ』。とろみをつけることで具材がまとまって喉を楽に通り、誤嚥を防ぎます

   飲み込みやすい食材

飲み込みやすい食材は以下のような特徴があります。

野菜

『粘りがでる野菜』が大活躍!具体的にはすりおろした長芋・れんこん、ゆでてすりつぶした里芋などです。

肉・魚

かみやすい食事と同じく、こちらも調理によって美味しく頂けます。ただ、魚の小骨などは誤嚥の可能性があり、危険なので注意しましょう。

注意

逆に飲み込みにくく、誤嚥を起こしやすい食材は、味噌汁などのさらっとしたスープ状の食べ物、麺類、わかめ、薄切りしたきゅうり、梅干しなどの酸っぱいものが挙げられます。

飲み込みやすそうな水分が多い液体の食事がNGなことに驚かれた方もおられるのではないでしょうか。水分が多く、サラッとしている食事は液体が早く動くために、胃ではなく誤って食道に入ってしまうことがあり、むしろ危険。麺類もすする際に誤嚥を起こすことが多い食材です。またわかめなどの薄いものは喉の奥に張り付く可能性があり、誤嚥性肺炎を起こすきっかけになることも。酸味が強いものもむせるきっかけとなり得るので注意しましょう。

   飲み込みやすい食事のための調理方法

『とろみ』の付け方は以下を試すと良いでしょう。

・食材をミキサーにかけて、ポタージュ状に
・水溶き片栗粉を使ってあんかけ状に

いずれの調理の場合も具材は細かく切り、柔らかく加熱調理したうえで行いましょう。


 カトラリーでの工夫

食事の調理に加え、食べるときのカトラリーにも工夫をし、食事環境を整えましょう。

   赤ちゃん、子ども用

歯がない又は少なく、喉の筋肉も発達していない赤ちゃんは、具材をすりつぶしたり柔らかく加熱し、細かく切ったりした離乳食を食べます。その際、使用するスプーンは離乳食用の先が小さいスプーンにしましょう。すくえる量が少ないために、口に入る食事量が調整され食事量が多過ぎるがためにむせて食材が誤って気管に入ることを防ぎます

   大人用

離乳食用のスプーンと同じ原理の、大人用のカトラリーもあります。嚥下障害補助用のスプーンです。こちらも誤嚥を防ぐため、心配な方は利用すると良いでしょう。

 まとめ

食事をバランス良くいただくことは生活の豊かさにつながります。かみにくい、飲み込みにくいことが原因で少食・偏食になり、気持ちまでもが停滞しないためにも、自身に不調を感じた場合や身の回りにそのような方がおられる場合は、食事内容を見直し、工夫をして楽しい食卓を目指しましょう。


【参考文献】 ※クリックいただくと資料データがダウンロードできます。
日本人の長寿を支える「健康な食事」のあり方に関する検討会 報告書 (厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000035122.pdf

平成25年国民健康・栄養調査 第3部生活習慣調査の結果 (厚生労働省)
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000031349917&fileKind=0

管理栄養士・ HITOOMOI

管理栄養士・ HITOOMOIフードコーディネーター・管理栄養士

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