近年話題の「食品ロス」。これは、本来であれば食べられるのに捨てられてしまう食品のことです。日本では、平成29年度に612万トンもの食品ロスが発生したと推計されています。
食品ロスと聞くと、食品メーカーやスーパーマーケット、飲食店、コンビニなどだけで発生していると思いがちですが、家庭でも多く発生しています。実は、家庭での食品ロスは全体の約46%と、半数を占めています(平成29年度)。確かに、普段の生活を改めて振り返ってみると「食材を買いすぎて食べきれず、腐らせてしまった」「外食の際に料理をたくさん注文して食べきれなかった」「調理の際に食べられる部分まで無駄に廃棄してしまった」といったことが多々あるように思います。
食品ロスを国民一人当たりに換算すると、毎日「お茶腕約1杯分(約132g)の食べもの」が捨てられていることになります。そしてこれは、年間にすると約48kgの量にもなります。
今回は、そんな食品ロスを削減するために、家庭で取り組んでいきたい以下3つのことを中心にお話しします。
①食品ロスを防ぐ買い物術
②料理の作りすぎを防ぐ方法と作りすぎた時の工夫
③食材の可食部を知って過剰廃棄を抑制
ここから、上記3つのポイントについて詳しくご説明します。
食品ロスを防ぐ買い物術
食材を買う前に在庫を確認する
皆さんは買い物をした後に、同じ食材があったことに気づくといったことはありませんか?そうならないためにも、冷蔵庫の中や常温保存の食品がどの程度残っているか一度確認してから買い物をするようにしましょう。
ついつい「安いから」「期限が長いから」といって食材を多めに購入したくなりますが、結果的にその食品を廃棄してしまうことになると、その分無駄にしてしまうことになります。買い物の際は、どう使い切るかイメージしながら、使い切ることが出来る量を購入するのがおすすめです。
まずはご家庭にストックしている食材のメモをとったり、写真を撮ったりして買い物時に参考にしてみると良いかもしれません。
献立を考えてから買い物に行く
買い物に行く前に献立を考えることで、食材を使い切れる量の目安がつきやすくなります。また、安さにひかれて必要のない食品を買ってしまうことを防ぐことができます。野菜や果物の中には、天候によって価格が変動することがあるため、献立を決めずに買い物に行ってしまうと「安さにひかれてついつい必要のないものまで買ってしまい、使いきれなかった」ということになりがちですよね。それを防ぐためにも、買い物ルールを定めるのがおすすめです。
「次の買い物の日まで、◯日で使い切れる食材の量を買う」など決めておくと良いでしょう。
また、献立を決める際は、すでにストックしている食材の中で、使い切りたいものを決めてから考えるのもポイントです。
料理の作りすぎを防ぐ方法と作りすぎた時の工夫
食品ロスを防ぐためには、「料理の作り過ぎを防ぐこと」と、「作り過ぎたときに余ったものを捨てるのではなく、工夫・活用して廃棄を減らすこと」も重要です。
適量を知って作りすぎを防ぐ
一食の中で、何をどの程度食べれば良いのか分からず、困ることがあるかと思います。食事の適量は、性別、年齢、身体活動量によってさまざまです。
困った時に参考にしたいのが、「食事バランスガイド」です。1日の適量をイラストでわかりやすく知ることができ、栄養の偏りが気になる方にもおすすめです。
農林水産省:「食事バランスガイド」についてhttps://www.maff.go.jp/j/balance_guide/index.html
食べきれず余った料理のリメイクやアレンジ(例:肉じゃが)
食べきることが出来ず余ってしまった料理は、リメイク・アレンジすることで、廃棄を防ぐことができます。
今回は、つい作り過ぎて余りがちな肉じゃがのリメイク・アレンジ例をお伝えします。
①初心者向け:カレー、シチュー
♪おすすめポイント♪
ルウを加えるだけで作れるワンステップリメイク!
すぐに完成するので、初心者さんや一人暮らしの人におすすめです。
リメイクする予定で初めから肉じゃがを多めに作ってもいいですね。
②中級者向け:コロッケ、トマト煮込み
♪おすすめポイント♪
見た目は華やかですが、意外に簡単に作れる2つを選びました。
トマト煮込みは、肉じゃがをリメイクしたことを感じさせない仕上がりになります。ローリエやバジルなどのハーブを使うとさらにランクアップ♪
③上級者向け:サモサ、キッシュ
♪おすすめポイント♪
上記2つの料理は共に工程が多く懸念しがちですが、リメイクであれば挑戦しやすいのでおすすめです。食材や調味料を足したりしてアレンジするのもいいですね♪
食材の可食部を知って過剰廃棄を抑制
意外と知らない!?ここも食べられる!
①にんじん・大根の皮
普段、野菜は皮を剥いて料理している人が多いと思いますが、実は皮も食べられます。煮物を作るときは、厚めに皮を剥くこともあると思いますが、その皮は捨てずに取っておき、きんぴらなどの料理やだしに活用しましょう。
炒め物やスープにする場合は皮を剥かずに使っても十分美味しく食べられます。気になる方は、なるべく薄く切ったり、スライサーを活用したりするなどの工夫をすると良いでしょう。
②ピーマンの種やヘタ
実は、汚れや傷みがなければピーマンは丸ごと食べられます。丸ごとスープや炒め物に活用したり、種とヘタを細かく刻んで肉だねに入れたりと、用途も様々です。丸ごと食べられるので、ゴミが減って片付けも楽になりますね♪
まとめ
食品ロスの観点から、生活を改めて振り返ってみると、何気なく捨ててしまっている食品が意外にも多いことに気づかされます。
今回の記事で、リメイク料理の工夫をしたり、普段廃棄していた食材の部位を活用することで片付けの手間が減ったりと、実は嬉しいこともあることを知っていただけたかと思います。
まずは一人一人のちょっとした工夫・気づかいで食品ロスを減らしていきましょう。そしてその小さな積み重ねが、食料資源の有効利用や地球温暖化の抑制等、私たちの生活・環境・地球を守ることにつながることを願っています。
参考:
食品ロスとは(農林水産省)
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/161227_4.html
食品ロスポータルサイト(環境省)
http://www.env.go.jp/recycle/foodloss/index.html
「食事バランスガイド」について(農林水産省)
https://www.maff.go.jp/j/balance_guide/index.html
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