忙しい毎日の献立に野菜を盛り込むコツと工夫~おすすめ調理・レシピ紹介~

さまざまなビタミンやミネラル、食物繊維などの栄養素を豊富に含む「野菜」は、私たちが体調を整える上で欠かすことのできない重要な食材です。しかしそうわかってはいても、毎日忙しく過ごしているとなかなかそこまで気が回らないこともありますね。

じつは厚生労働省が提唱する国民の健康づくり・疾病予防のための指標「健康日本21(第2次)」では、成人の場合、「野菜類を一日あたり350g以上食べる」ことが推奨されています。これは実際、冷蔵庫にある野菜で計ってみるとよくわかりますが、日頃から少しでも意識をしていないとなかなか摂りきれない量です。

1日分の野菜量350g

そこで今回は、毎日の献立にどうすれば無理なく野菜を盛り込んでいけるかについて考えてみたいと思います。具体的にどんなおかずを食卓に取り入れたらよさそうか、時には日本だけでなく海外の食の知恵などにも助けを借りながら、ぜひ一緒に考えていきましょう。

 簡単な「あと1品」メニューを増やす

まずはすぐにでもできそうなのが、簡単に作れるあと1品のメニューを増やすこと。

生の野菜なら、漬物やピクルスなどがあればそれだけで箸休めになりますね。漬ける時は市販の浅漬けの素やピクルスの素などを使ってもかまいませんが、『ぬか漬け』や『味噌漬け』、『塩麹漬け』など、発酵食品を取り入れて作ればそれだけで腸内環境の改善に役立ちます。

あとおすすめしたいのが、手軽に作れる『めんつゆ漬け』」や『白だし漬け』。わざわざ茹でなくても電子レンジで野菜に火を通すことができるので、それを好みの濃さにしためんつゆや白だしにひたすだけです。これなら漬物には向きにくい葉野菜やきのこ類などでもおひたしのようにしてたっぷりといただくことができますし、旨みと塩分が入るため味が落ちにくく、色味も鮮やかに仕上げることができますよ。

そのほか、野菜を梅肉やかつお節、塩昆布などであえたり、定番のごまあえなどにしておくのも美味しいですね。こうした「ちょこっとおかず」は、アレンジも効きやすくてとても便利。時間のある時に作っておけば、箸休めやお弁当おかずとしてはもちろん、きざんで納豆に混ぜ入れたり、お茶漬けやそうめん、うどんなどのトッピングにしたり、まぜ麺やパスタなどの具材にしたりといろいろ活用できます。

数種類の野菜を使った作り置き

さて、もう少し余裕があるならば、野菜を数種類混ぜ合わせたおかずを作っておくのもおすすめです。一品で食感や味わい、彩りの違いなどを楽しめるものであれば品数が少ない時でも食卓がグンと豊かになりますし、それぞれの野菜からさまざまな栄養素を摂取することもできます。

これは一見すると作るのが少し面倒なようにも思えますが、野菜を切る時はスライサーなどを活用し、加熱はほぼ電子レンジで済まるようにすると、案外短い時間で作ることができます。

甘酢であえた和え物や、食欲をそそる『ナムル』、食べやすい『コールスロー』や『キャロットラペ』などのマリネサラダなら、いろいろな具材を合わせて使っても時間が経つほどに味がなじんで美味しくなります。また野菜だけでなく、蒸し鶏(サラダチキン)やハム、チャーシュー、ちくわ、ツナなどのたんぱく質を補えるものを一緒に入れておけば、それだけで具だくさんなおかずサラダのようになり、メイン料理に近づけることもできますね。

ちなみに使う野菜には、色合いや食感にアクセントを持たせられるようなものをひとつ加えてみるのがおすすめ。

たとえば色味がきれいで栄養価も高いにんじんを入れるとか、コリコリした食感が楽しい甘みのある切り干し大根を使ったりしても、噛みしめるたびに美味しくて思わず箸が伸びます。

そして味つけには、酢やマヨネーズ、マスタード、ポン酢などの酸味のあるものなども積極的に使いましょう。コクのあるゴマや、ショウガ、ニンニク、ハーブやスパイス類などで風味づけしておくのも良いですね。

いずれも食欲をそそる味つけになるので、野菜がたくさん食べられるだけでなく、作り置きをしても味が落ちにくくなって最後まで飽きずにいただくことができます。

作り置きおすすめレシピ

 生ハムと大根のマリネサラダ♪レモンとハーブの香りが爽やか
 野菜も主役になる旬野菜の料理

そして秋などの季節におすすめしたいのが、野菜そのものの食べごたえや美味しさを思い切り楽しめる【オーブン焼き】や【蒸し煮料理】です。暑い季節に作っても、もちろんかまいませんが、秋冬にかけては加熱調理に向く野菜が美味しくなってきますので、よろしければぜひ試してみてください。

大ぶりに切った野菜を焼いたり蒸し煮にしたりする食べ方は、野菜の甘みや旨みを引き出す上では最適とも言える調理法です。

シンプルな野菜の『ロースト』や、夏野菜の『ラタトゥイユ』、インド料理の『サブジ(スパイス蒸し)』など、こうした料理は野菜だけで作ってももちろん美味しくいただけます。

野菜が主役!おすすめレシピ

芽キャベツとナッツのロースト♪ホクホク香ばしい☆
かぶときのこのサブジ(スパイス炒め蒸し)野菜の甘味を味わう♪

またヨーロッパではよく、メインの肉や魚と一緒に野菜をたくさん天板に並べて焼き上げることがあります。メインの肉などと一緒に加熱して、その旨みを野菜に吸わせていただくのです。美味しくて見た目も豪華なので、普段の食卓だけでなくおもてなしの時などにもよく登場します。作り方は、いずれも下味を軽くつけた野菜をメインの具材と共に焼いたり蒸し煮したりするだけなので意外とシンプル。けれどとびきり美味しくて、これを旬の野菜で作るとまさに「野菜を食べたいがための料理」にもなりえます。また同じオーブン料理でも少し形を変えて、チーズをのせたグラタンやラザニアに入れて作るのも美味しくておすすめです。

旬野菜のおすすめレシピ

鶏スペアリブと秋野菜の蒸し焼き♪バルサミコソース
ズッキーニと大豆ミートのヘルシー本格ラザニア♪口当たり軽く旨味満点

一方、具だくさんな汁ものやポトフのような煮込み料理にすれば、野菜のかさが減り、食べられる量をさらに増やすことができますね。旬の野菜を思い切りメインにした煮物を作るのもいいですし、徐々に気温が下がるこれからの季節には、さまざまな種類の野菜をきざんだ温かなスープも格別の味わいです。

秋なすと油揚げのいりこ煮
豆と根菜の具だくさん♪おかずスープ
毎日の食事作りに無理なく取り入れる工夫を楽しむ

そのほか、わざわざ1品を別に作るのが大変ならば、肉などのメイン食材に野菜を混ぜ込むのも手軽なやり方です。定番は『ハンバーグ』や『つくね』、『ドライカレー』などのひき肉料理ですが、『チャーハン』や『炒めごはん風』のものなどにたっぷりの野菜を加えて香ばしく炒めても美味しくいただけます。

無理なく取り入れるおすすめレシピ

サバ缶ミートソース♪忙しいときや作り置きにオススメ
完熟トマトのアヒポキ丼*食欲そそる味付け♪

また、肉や魚のソースに野菜をたっぷり使ってみたり、旨みのあるたれで野菜を一緒にからめて食べたりするのも簡単です。

フライパンひとつで!しっとり蒸し豚♪おろしきゅうりの香味だれ
鶏ささみの米粉スティックからあげ♪新玉ねぎソース

手間のかかる料理を作るのが面倒な時は、秋ならきのこ、冬ならキャベツや白菜といった風に、旬の野菜をバターなどと一緒に電子レンジにかけるだけでも十分美味しいおかずになります。そこに定番の醤油や味噌、あるいは柚子胡椒などを添えれば、ちょっとごちそう感のあるしっかり味の一品が簡単にできますよ。

そして最後に、野菜類は必ずしも生のものを使わなければいけないわけではありません。最近では旬の時期の野菜を加工した冷凍カット野菜がたくさん売られていますので、それを使えば、保存や下処理に気を配ったり、包丁で切ったりする必要もなくなります。

いずれにしても、いろいろなものを上手に活用しながら、まずは気楽な気持ちで自分にできる範囲で野菜を取り入れる工夫をしてみることが大切だと思います。
ほんの少し意識するだけでも、日々の野菜の摂取量はきっと変わってきます。毎日の少しずつの積み重ねで、ぜひ無理することなく楽しみながら取り組んでいけたらいいですね。

料理/食文化研究家・庭乃桃さん

料理/食文化研究家・庭乃桃さんMeal Partner_Food Culture Researcher

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大学院でヨーロッパ地域の歴史・文化を専攻し、現地へ留学。
企業向けレシピの開発やスタイリング・撮影を手がけるほか、書籍・コラムの執筆や、翻訳、講演など多方面で活動中。

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