『便秘』ー栄養カウンセリング・食の悩み相談事例【薬剤師コラム】

栄養カウンセリングを日々お受けする中で、女性の体調に関して、食の悩みや栄養面の相談を寄せられます。その中でも、今回は『便秘』についてご紹介いたします。

 便秘とは(便秘の定義、基準)
便

『便秘』は「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」

引用:2017年『慢性便秘症診療ガイドライン』

便秘は、これまで症状が患者の主観によるため定量化が難しく、明確な定義がありませんでした。この慢性便秘症診療ガイドラインでは、これまでの疫学的データに基づき策定された国際基準であるRome IV基準による診断基準があります。以下の診断基準を参考に、ご自身の状態を把握してみてください。

   便秘症・慢性便秘症の診断基準

『便秘症』の診断基準:以下の6項目のうち、2項目以上を満たす。
✓排便の25%超で、強くいきむ必要がある
✓排便の25%超で、兎糞状便または硬便である
✓排便の25%超で、残便感を感じる
✓排便の25%超で、直腸肛門の閉塞感や排便困難感がある
✓排便の25%超で、用手的な排便介助が必要である(摘便・会陰部圧迫等)
✓自発的な排便回数が、週に3回未満である

『慢性便秘症』の診断基準

6ヵ月以上前から症状があり、最近3ヵ月間は上記の基準を満たしている。

上記を参考としながら、「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」が持続し、日常生活に支障が生じていれば便秘症と認識しながら、治療や改善を行っていきましょう。

 つらい便秘!市販のお薬で対処していませんか?

便秘の原因は、主に、運動不足水分不足食物繊維不足腹筋力の低などがあげられます。
ご自身の状況にあわせて、日常生活の改善が必要です。コラム後半で便秘解消の生活習慣をお伝えします。

みなさまは、便秘解消のために、市販のお薬を利用していますか。つらい便秘解消のためには、お薬は上手に利用していくことで安心した生活を得られます。ただ、市販のお薬の中には、「大腸刺激性下剤」に分類されるものがあります。大腸刺激性下剤を習慣的に使用することで、腸粘膜が炎症を起こし血流が悪くなり、さらに便秘を引き起こしてしまうという悪循環になります。

便秘薬を飲み続けないと便秘が治らない!とお悩みの方、一度食事を見直してみませんか?

 便秘を解消する栄養素と豊富に含む食材

便秘改善には以下の栄養素を意識的に摂取することが大切です。

発酵菌

「善玉菌を活性させ、腸内環境を改善する。」
〇豊富に含む食材・・・味噌、醤油等の発酵調味料、ぬか漬け、納豆、キムチなど

発酵食材
食物繊維食材
水溶性食物繊維

「腸内細菌の発酵を受けやすく、乳酸菌などの有益菌を増やして腸内環境を改善する。」
〇豊富に含む食材・・・海藻、オクラ、なめこ、こんにゃく、大麦、オートミールなど

食物繊維には、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があり、バランスが大切です。不溶性食物繊維は便通を促進し、便のかさになりますが、便秘のときは詰まりやすいため、なるべく控えて、水溶性食物繊維を意識的に多くとると良いでしょう。
不溶性食物繊維を豊富に含む食材・・・玄米・雑穀、ブロッコリー、かぼちゃ、枝豆など

オリゴ糖

「ビフィズス菌などの有益菌を増やして、腸内環境を改善する。」
〇豊富に含む食材・・・玉ねぎ、アスパラガス、ごぼう、バナナ、りんごなど

オメガ9脂肪酸

「腸の蠕動運動を促進し、潤滑油として便の滑り出しを良くする。」
〇豊富に含む食材・・・オリーブオイル、米油など

オメガ3脂肪酸

「腸の蠕動運動を促進し、潤滑油として便の滑り出しを良くする。」
〇豊富に含む食材・・・魚の油、えごま油、アマニ油など

水分

「便の水分量を増やし、排便しやすくする。」
〇水・・・ノンカフェインのもの。常温のミネラルウォーター、白湯など

普通便の水分量は70~80%です。水分が不足すると、便が固くなり便秘を引き起こしてしまいます。カフェインなどが含有されているコーヒーやエナジードリンクは、利尿作用があり、摂取した水分が排出されてしまいます。また、冷たい飲み物は腸を冷やし、腸への血流が不足するため、常温のミネラルウォーターやお白湯がおすすめです。

 便秘を解消するための生活習慣

便秘解消のための生活習慣をお伝えします。食生活の見直しとともに、実践してみてくださいね。

   『水分』をたくさん摂りましょう。

便をやわらかく、排泄しやすくします。まずは今よりコップ2杯のお水を増やしてみましょう。

   十分な『睡眠』を取りましょう。

平均して7~8時間の睡眠時間がおすすめです。まずは今より30分~1時間睡眠を多めにとってみましょう。睡眠を十分に取ることで自律神経のバランスが整い、副交感神経のスイッチがスムーズに入ることで、消化管の蠕動運動が活性されます。

   『空腹時間』をつくりましょう。

食後6~8時間後、小腸から“モチリン”というホルモンが分泌され「空腹収縮」が起こりますこの収縮は、消化管の入口から出口に向かって大きく波打ち胃腸の掃除をします。

   『体を冷やすもの』を避けましょう。

白砂糖、生野菜、肉の脂身、ビール、コーヒーを習慣的に摂取していると体が冷えてしまい、腸の動きも鈍くなってしまいます。体が冷えやすい方は、体を温める生姜、根菜類、てんさい糖、味噌・納豆などの発酵食品がおすすめです。特に寒い国で収穫される作物は、体を温める作用があります。

   適度な『運動』をしましょう。

1日30分の軽い運動は、脂肪燃焼効果だけでなく、血流促進、自律神経の調節に役立ち、腸の正常な機能を保つことができます。またウォーキングなどの全身運動は、便を押し出すための腸骨筋を鍛えることができます。

 終わりに

便秘がつらいからと、市販の便秘薬を使ったり、不溶性食物繊維をたくさん摂ったりと、自分では腸にいいと思っていても、もしかするとご自身の体調に合わないことを続けている可能性もあります。目安として2週間継続しても改善されない場合は、体質にあっていないことがあるため、一度違う方法に切り替えてみるのもいいでしょう。


その他、栄養カウンセリングをしていると「摂食障害-過食症-」に関する相談も多く寄せられます。以下コラムでは、過食症の原因と過食症克服のポイントをご説明しています。過食症に悩まれている方は、ご参考ください。

薬剤師-栄養カウンセラー・冨尾ありささん

薬剤師-栄養カウンセラー・冨尾ありささん(一社)インナービューティープランナ-

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薬剤師の経験と栄養の知識を通じて「共働きのお母さんの幸せを叶える」ことをミッションに活動。
薬学と栄養学で顧客の美容・健康計画を叶えるだけでなく、調和のとれた豊かな暮らしをサポートする起業支援に従事。単なる起業支援ではなく、「魅力的に年を重ねるライフスタイル」をトータルサポートしている。
フルタイム勤務しながらフリーの仕事である料理教室・栄養セミナー受講者は1年で600人、カウンセリング薬局のべ5000人

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