豚肉がよく食べられる沖縄県では、余すところなく料理に使うことから「鳴き声以外は全て食べ尽くす」と言われています。
中でも沖縄県で“中身”と呼ばれる内臓を使った「中身汁」は、「中身の吸い物(なかみのすいもの)」とも呼ばれ、豚の大腸や小腸、胃といった中身を具にし、すまし汁仕立てでシンプルに仕上げた郷土料理です。内臓を使っているにも関わらずさっぱりとした味わいが特徴。
そのためには丁寧な下処理が重要であり、おからや小麦粉などを使ってもみ洗いした上で何度もゆでこぼし、脂と臭みを取り除きます。
だしにはかつおと豚を合わせて使い、高級客膳料理として振る舞う場合は、具材を中身のみにしたりシイタケだけを添えたりします。また、独特の爽やかな香りを持つコショウに似た香辛料のヒハツを加えることもありますが、現在では代わりにショウガのすりおろしを入れて食べるのが一般的となっています。