免疫力向上に必要な栄養素と簡単レシピ【管理栄養士コラム】

– 新型コロナウイルス対策で話題 –

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、「免疫力」が話題となっています。しかし、「免疫」についてしっかり理解できている方は少ないのではないでしょうか。今回は、免疫についての基礎知識から免疫力を向上させる食事のポイント、簡単にできる美味しいレシピまでご紹介します。

免疫とは

「免疫」とは、私たちの体に侵入してくる細菌、ウイルス、アレルギー物質などの異物を体外へ排除してくれる防御システム のことです。
免疫細胞が感染症やがんなど病気になる元、すなわち異物を見つけて殺傷し、排除してくれます。

免疫細胞は、病原菌などから体を守るだけでなく、傷ついた細胞の修復や、新陳代謝を活発にすることにより、体の機能低下や細胞の老化防止も行います。免疫をつかさどる免疫細胞が元気に活動し、この免疫システムが正常に働いてくれていれば、病気から体を守り、ストレスにも強くなります 。そして、風邪もひきにくく、アレルギーも起こしにくくなります。このように、自分の体を守るために「免疫力」を高めることは非常に大切です。

未知なるウイルスである新型コロナウイルスの感染拡大防止において、抵抗力を維持・強化させる、すなわち免疫力を高めることが、感染防止、重症化予防に効果が期待できます。
そして、この免疫力は、私たちの日常生活と密接に関係しています。加齢や極度のストレス、睡眠不足や運動不足、飲酒・喫煙など生活習慣、食生活の乱れといった日常生活のバランスが崩れると「ウイルスに対する抵抗力」が低下します。その中でも特に重要なのは、栄養と食事です。
近年の研究から、私たちに備わっている免疫システムには多くの種類の食品成分や栄養素が関わっていることが分かってきました。 ある特定の食品や栄養素だけを強化すればよいということではなく、様々な食品を取り入れ栄養バランスのとれた食事をすることで、食事から摂取する様々な食品成分が総合的に作用し、感染症など病気から身を守り、健康を維持することができます 。

免疫力を向上させる栄養素

免疫力に関係している栄養素は、たんぱく質、ミネラル、ビタミン、食物繊維などがあります。しかし、上記にも記載したように、この食品を食べていれば、この栄養素をとっていれば感染症にならない、病気にならないというものは残念ながらありません。栄養バランスのとれた食事をとることで、免疫能に関係する栄養素などの摂取に繋がります。

また、国連食糧農業機構(FAO:Food and Agriculture Organization of the United Nations) が公表した「COVID-19パンデミック期に健康的な食生活を維持する方法:Maintaining a healthy diet during the COVID-19 pandemic」にも、「重要な栄養素を摂取するために、様々な食品を摂取しましょう 」 という記載があります。

免疫力を最大限発揮する食事のポイント
   ①たんぱく質をとる

たんぱく質は筋肉や臓器などを構成するだけでなく、免疫細胞の主要な成分です。たんぱく質が不足すると免疫細胞が減少し、抵抗力の低下につながります。魚、肉、卵、大豆・大豆製品などたんぱく質を豊富に含む食事を偏りなく適量とることが大切です。

目安

 1 回の食事で手のひらの大きさ

   ②ミネラルやビタミンをとる

ミネラルやビタミンは、疲労回復や体調を整える働きがあります。そして、亜鉛やセレンなどのミネラル、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンCなどのビタミンは、細胞を傷つける「活性酸素」の働きを抑え、免疫細胞を守る働きがあります。また、ビタミンA は、鼻や喉の粘膜を強くする働きがあります。野菜や果物は特にミネラルやビタミンが多く含まれているため、積極的に摂取すると良いです。
野菜に関しては、葉物類(レタス、ほうれん草など)と根菜類(にんじん、だいこんなど)、緑黄色野菜(ブロッコリー、かぼちゃなど)とその他の野菜(キャベツ、もやしなど)などを偏りなく食事に取り入れましょう。

目安

 野菜は1回の食事で両手に山盛り1杯、果物は1日で人差し指と親指の輪の中に入る大きさ

   ③食物繊維をとる

食物繊維は、腸の動きを活発にし、便通をよくする働きがあります。また、腸内の善玉菌を優位にし、腸内環境を整えます。腸内環境を整えることで、免疫細胞も活性化され、免疫力を高めてくれます。食物繊維は、豆類やきのこ類、海藻類、野菜や果物に多く含まれています。

   ④発酵食品をとる

腸は、全身の免疫システムの重要拠点です。納豆、ヨーグルト、キムチ、味噌などの発酵食品は腸内の善玉菌を効率的に増やし、腸内環境を良好に保ち、免疫力の低下を防ぎます。

   ⑤体を温めるものをとる

体を温め、血流をよくすると免疫細胞が全身に行き渡り活発に活動してくれます。体温が1℃ 下がると、免疫力が 30%下がると言われています。暑い季節でも、極端に冷たすぎる飲み物や冷たい食べ物のとりすぎには注意が必要です。体温を上げてくれる成分が含まれている生姜、にんにく、ねぎ、とうがらしなどを料理に取り入れるのも効果的です。

   ⑥定期的に水分をとる。

常に外気と触れ合っている鼻と喉は、細菌やウイルスが侵入してこないように粘膜で覆われています。しかし、体内の水分量が減ると粘膜が乾燥し細菌やウイルスが侵入しやすくなります。また、水分量が不足すると血流が悪くなり、免疫細胞の働きが悪くなります。こまめに水分を摂ることが大切です。

目安

 1日にコップ6~8杯


免疫力向上簡単レシピ

免疫力を向上につながる食材を活用した美味しく、簡単なレシピをご紹介します。レシピの材料、作り方、食材ごとの免疫力向上のポイントは、別ページのレシピページで掲載していますので、各ページをご覧頂ければと思います。

『生姜と油揚げの簡単炊き込みご飯』
油揚げの旨味で生姜もまろやかな味わいに!
◇免疫向上につながる主な食材◇
✓生姜 ✓油揚げ 


『鯖缶のトマトカレー』
鯖のうま味とトマトの酸味が抜群の相性
◇免疫向上につながる主な食材◇
✓トマト ✓鯖缶 ✓にんにく


『たまねぎとミックスビーンズの豆乳スープ』
◇免疫向上につながる主な食材◇
✓たまねぎ ✓ミックスビーンズ ✓豆乳


『キャロットライス』
お子様も大好きなメニュー!
◇免疫向上につながる主な食材◇
✓にんじん ✓しらす干し 


『鶏むね肉の南蛮漬け』
◇免疫向上につながる主な食材◇
✓鶏むね肉 ✓にんじん ✓たまねぎ ✓ピーマン ✓酢


『ブロッコリーのヨーグルトみそ和え』
◇免疫向上につながる主な食材◇
✓ブロッコリー ✓ヨーグルト ✓味噌 ✓ごま


『キャベツとわかめの和風コールスローサラダ』
◇免疫向上につながる主な食材◇
✓キャベツ ✓わかめ ✓酢

東京医療保健大学 医療保健学部

東京医療保健大学 医療保健学部≪提供者≫ 細田 明美先生

記事一覧

≪執筆者≫ 細田 明美 
所属:東京医療保健大学 医療保健学部 医療栄養学科
講師/博士(学術)/管理栄養士/健康運動指導士/健康咀嚼指導士
研究テーマ:
・口腔機能と食習慣に関する研究
・子どもの入院に付き添う親への食事支援について
・マクロファージからの炎症性メディエーター産生に対する機能性食品の影響など

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

– PRが含まれています-

おすすめ!?レシピ

  1. 甘酒オーバーナイトオーツ&アボカドクリームの朝食パフェレシピ♪

  2. 泡盛トロピカルサングリア♪パインアップル&ライチ入り【沖縄料理研究家レシピ】

  3. 疲労回復レシピ・牛肉とブロッコリーのウスターソース炒め【管理栄養士レシピ】

  4. キャベツ餅 *郷土料理<福島県>

  5. 根菜煮込み『だぶ』*郷土料理〈九州レシピ〉

♬レシピ動画♬

  1. パッションフルーツのぷるぷる南国ゼリー♪アガー使用*レシピ動画

  2. おうちでターンムパイ(田芋:島野菜)*市販のパイシートでお手軽レシピ動画♪

  3. ♬レシピ動画♬ふわふわ食感の雲パン♡

ピックアップコラム

  1. 甘いものがやめられない女性のための発酵あんこの健康効果と作り方【薬剤師コラム】

  2. 春薬膳から学ぶ*旬の食べ物を選ぶポイント3選【国際薬膳師コラム】

  3. 秋薬膳で乾燥対策!4つのポイントとおすすめ食材【国際薬膳師コラム】