寒い時期の食の整え方【管理栄養士コラム】 

冬になると、朝晩の冷え込みが激しくなり、おうちで暖かく過ごしたいと思う日が増えてきますよね。寒い日は、朝起きてもなかなか布団から出られない…という方も多いのではないでしょうか?そんなときは、体を芯から温めて快適に過ごしたいもの。今回は、そんな冬の時期の生活の整え方について、食や栄養を中心にご紹介いたします。

 寒くなる時期に摂りたい栄養素

寒い時期は、体の冷えや体温の低下による「免疫力の低下」が問題となります。免疫力が落ちると、身体の抵抗力が低くなり、風邪をひきやすくなってしまいます。ここからは、免疫力の向上をサポートする5つの栄養素とその効果についてご紹介いたします。

   たんぱく質:体温の上昇

たんぱく質は、私たちの体を作るために必要不可欠な栄養素です。皮膚や爪、髪、筋肉などの材料にもなっています。たんぱく質をしっかり摂っておくことで、筋肉量が増え、基礎代謝が上がり、体温の上昇をサポートします。また、たんぱく質と同時に、ビタミンB群を含む食材を摂取するのがおすすめです。ビタミンB群は、たんぱく質の代謝をサポートしてくれる働きがあります。食べ合わせを意識してみましょう。

   ビタミンA:粘膜の健康維持

ビタミンAは、皮膚や粘膜にある細胞の形成に必要な栄養素です。粘膜の健康維持に働くことで、細菌の感染を防ぐ作用があります。ビタミンAを摂取しておくことで、乾燥しやすい冬の時期でも、鼻やのどの粘膜を守り、風邪を予防する効果が見込めます。

   ビタミンC:免疫機能の強化

ビタミンCは多くの働きを持つ栄養素です。コラーゲンの生成をサポートする働き、強い抗酸化作用、免疫機能であるリンパ球や白血球の働きを強化する作用などがあります。このような働きから、ビタミンCを摂取することは、抵抗力を強め、風邪をひきにくくすることにつながると考えられます。ビタミンCは喫煙やストレスで消費されてしまうので、不足しないよう、定期的に摂取すると良いです。

   ビタミンE:血行促進作用

ビタミンEは、抗酸化作用を持っている栄養素です。これには、細胞の老化予防だけではなく、末梢血管を拡張させることで、血行を良くする作用があります。そのため、血行が促進されることで、体の隅々まで栄養素が行き渡り、体温を上昇させる効果が期待できます。

   食物繊維:腸内環境の改善

食物繊維は、腸の蠕動運動を刺激して便の排泄をスムーズにしたり、善玉菌のエサとなり腸内環境を良くする働きがあります。実は、身体の免疫細胞のほとんどは腸に存在しているといわれています。そのため、腸内環境を良好に保つことは、免疫細胞の働きを良くすることにつながると考えられています。

 寒くなる時期に食べたい食べ物

具体的には、どのような食材を食べればよいのでしょうか? ここからは、先ほど紹介した栄養素を含む、おすすめの食材についてご紹介いたします。

   鶏肉:たんぱく質

鶏肉は、肉類の中でも比較的脂質が低く、たんぱく質をしっかりと摂取できる食材のひとつです。鶏肉は良質なたんぱく質であるため、体づくりに必要な栄養素を効率よく摂取することができます。また、体を温める作用を持っているため、寒い時期にぴったりな食材です。焼いても、煮ても、鍋に入れても美味しい、使いやすい食材である点も嬉しいポイントです。

   にんじん:ビタミンA

にんじんには、ビタミンAの働きをするβ-カロテンを多く含んでいます。ビタミンAを摂取することで、粘膜の健康維持につながり、細菌やウイルスが体の中に侵入することを防ぎます。油と相性が良いので、油と一緒に炒めて食べるのがいいでしょう。

   かぼちゃ:ビタミンA、C、E

かぼちゃには、冬に摂取しておきたい栄養素である「ビタミンA」「ビタミンC」「ビタミンE」が豊富に含まれています。かぼちゃは、「冬至にかぼちゃを食べると風邪をひかない」と古くからいわれている通り、栄養価が高いのが特徴です。抗酸化作用が強く、免疫力をアップさせるため、寒い時期でも風邪に負けない抵抗力をつけるのにぴったりな食材です。スープや煮物で食べるのがおすすめですよ。

   アーモンドなどのナッツ類:ビタミンE

ナッツ類には、ビタミンEが多く含まれています。血行促進作用があり、体の隅々まで栄養素を行き渡らせます。おやつに少しつまんだり、砕いてサラダの上に散らして食べるのがおすすめです。ただし、ナッツ類には脂質も多く含まれているので食べ過ぎには注意しましょう。

   ごぼう:食物繊維

冬に旬を迎えるごぼうは、食物繊維が豊富な根菜の一つです。食物繊維を摂取することで、腸内環境を整える働きが期待できます。煮物やきんぴらごぼうなどの炒め物にして食べるのが良いでしょう。

 寒い時期に気をつけたいこと

寒くなると、体を動かすのが億劫になったり、手足が冷え切ってしまうなんてことありませんか?実は、気をつけるべきポイントは栄養素や食べ物だけではなく、日々の生活にも存在しています。ここからは、その4つのポイントに関してご紹介いたします。

   体を冷やさない

寒い冬は特に、体を冷やさないように気をつけることが大切です。人は気温が下がると、体温が下がらないように血管を収縮させ、血液の流れを少なくしたり、筋肉を使って熱を生み出すことで体温を調節しています。しかし、エネルギーや筋肉量が不足しており、体温が低下すると、細菌やウイルスに対する抵抗力が弱まり、風邪を引きやすくなってしまいます。温かいものを食べて、内側から体を温めたり、ゆっくり入浴して全身を温めることが大切です。

   乾燥を防ぐ

冬の時期は、空気が乾燥しているなと感じますよね。実は、気温が下がると湿度も下がるという傾向にあるのです。また、空気が乾燥することで、細菌やウイルスが繁殖しやすくなってしまいます。外気が乾燥すると、同時に私たちの喉や鼻の粘膜も乾燥しやすくなるため、細菌やウイルスが入りやすくなり、結果として風邪を引きやすくなる傾向にあります。生活の中でできる工夫は、加湿器で湿度を調節したり、手洗いうがいを徹底することです。このような習慣で、体内に細菌やウイルスが入りにくい状態にしておきましょう。

   適度な運動をする

寒くなってくると、体を動かすのが辛いと感じる方も多いと思います。しかし、寒い時期だからこそ、しっかり体を動かすことが大切です!体を動かすことで、熱が生み出され、体温は上昇します。さらに、適度な運動を行うことで、体内にウイルスが入ってきたときに戦う免疫細胞、「NK細胞」が活発に働き、体を守ってくれます。特別な運動をせずとも、日々の移動で歩いたり、家事で体を動かすだけでも大丈夫です。どんなに小さなことでも、積極的に動くことを心がけましょう。

   朝食をしっかり食べる

寒い朝、朝食をしっかりと食べることがとても重要です。食事をすると、私たちは吸収した栄養素を分解し、熱を生み出し代謝を高めることができます。これを「食事誘発性熱産生」といいます。朝食のメニューには、先ほどご紹介した寒い日に摂りたい栄養素や食材を意識して使用できると良いでしょう。

 

 まとめ

いかがでしたでしょうか?寒くなる時期は、体が冷えてしまったり、乾燥によって風邪を引きやすくなります。 今回ご紹介した栄養素や食事、生活習慣を意識して整えることで、冬の時期の不調をできるだけ減らして過ごすことができます。ぜひ、日々の生活にお役立てください。

管理栄養士・ HITOOMOI

管理栄養士・ HITOOMOIフードコーディネーター・管理栄養士

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「ヒトオモイ=人想い」大切な人を想う気持ち。それがヒトオモイ。「ヒトオモイ=一思い」その気持ちを、ただ一つ思い続ける。それがヒトオモイ。
合同会社HITOOMOIは、大切な人のための、手作りの食事で「作る人・食べる人」お互いが大事にされていることを実感し生きててよかったと思える社会を創ることを目指しています。

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