それぞれの地域でとれる野菜や魚を使い、日本各地様々な場所で独自に発展してきた郷土食「冷や汁」。中でも埼玉の「冷や汁」は、稲作の裏作として小麦の栽培が広く行われた“うどん文化”のある土地ならではの、うどんのつけ汁として食べられてきました。かつて農作業は手作業が基本だったため、稲作を行う農家では田植えから収穫までの時期はとても忙しく、朝から日暮れまで時間を惜しんで作業に明け暮れていました。農繁期に作るのに手間がかからず、栄養もある「冷や汁」は重宝されました。四方を川に囲まれ、肥沃な土地を持つ川島町では、古くから稲作が盛んで、「冷や汁」のことを「すったて」と呼び、農家の定番の食でした。「すったて」とは、野菜などの具材をすりばちですり、「すりたて」を食べていたことに由来します。「冷やし汁」「つったて」とも呼ばれます。
すり鉢でごまとみそを合わせて、キュウリや大葉、ミョウガなどの清涼感のある野菜をたっぷりと加えて一緒にすります。最後に冷たい水を注いで混ぜます。川島町の「すったて」では、野菜もすり鉢ですり合わせるのが特徴。うどんだけでなく、ご飯に豪快にかける食べ方もありますよ。