沖縄県の肝疾患からみるアルコール摂取~お酒との上手な付き合い方~【管理栄養士コラム】 

節目やお祝い事、お祭りやライブイベント、友人との楽しい時間にも欠かせないお酒
最近では、お仕事が在宅になりアルコール量が増えたという話もよく聞きますが、沖縄県では、アルコールによる肝疾患が増え問題視されています。
今回は、沖縄県の肝疾患の現状、アルコールのメリット&デメリット、アルコールと上手に付き合うためのポイントなどを解説します。

 沖縄県の「アルコールによる肝疾患の死亡率」は全国平均の二倍!?

沖縄県は、琉球王国時代から飲まれているお酒「泡盛」が名産品でもあり、お酒には強いイメージ。宮古島では、神事が由来の「オトーリ」(※1)という回し飲み文化があるほど、お酒は昔からのコミュニケーションツールの1つです。
さらにお酒を多く飲む要因としては、沖縄県は南国の亜熱帯気候で1年の半分は夏日。暑い日々が続いたら飲みたくなりますね。その気持ち・・・よくわかります。

しかし、沖縄県では、お酒が原因で肝疾患になり、亡くなる方の割合が増えているのです。
厚生労働省により行われている調査(※2)によると、平成27年度の沖縄県の肝疾患年齢調整死亡率は男女とも全国ワースト1位。さらにアルコールによる肝疾患の死亡割合は、男性55%、女性21%です。全国と比較しても、男性の割合は、全国6.7%、沖縄13.5%。女性の割合は、全国0.9%、沖縄2.1%と男女とも全国と比べると2倍でした(人口10万人対比)。さらに沖縄県が実施した調査結果では、沖縄県民の飲酒者割合は高く、1度に飲む量も多いことがわかっています。

2020年では、オリオンビールから発売されたアルコール度数9%の缶チューハイ「WATTA」が、安く酔えると人気商品となりましたが、健康面を考え発売中止となりました。

オリオンビールからのコメント
「社会的に高アルコール飲料の害が指摘されていることを受け、社内で検討を重ねてきた。県民の健康に貢献することが使命なので、高アルコール飲料の発売を中止することにした」
琉球新報より引用
(※3)

このように、沖縄県内でも酒文化を再度見直し、地域でも「健康を考えながら飲む」などアルコールの飲み方や過剰飲酒に関する、活動を取り入れつつあります。

 アルコールのメリットとデメリットとは?

とはいえ、お酒を一切やめるのでは、楽しみがなくなってしまいます。アルコールの適量を知って嗜む程度に取り入れたいですね!
まずはメリットやデメリットを見てみましょう。

ことわざで「酒は百薬の長」と言われ、適量ならメリットもあります。
アルコールのメリットは、リラックス効果がありストレスの緩和、食欲増進、血行促進、コミュニケーションの円滑などがあります。
デメリットは長期的に飲むことで、アルコールによる肝疾患、大量飲酒によるアルコール依存症や脳萎縮、過度の飲酒から生活習慣病のリスクが高くなることがわかっています。
では、どの程度が適量なのでしょうか。

厚生労働省から発表されている「節度ある適度な飲酒」は、一日平均純アルコール約20%程度(※4)で、純アルコール約20gの目安は、

ビール5%(ロング缶1本500ml)、清酒15%(一合180ml)、ウイスキー・ブランデー43%(ダブル60ml)、焼酎35%(1/2合90ml)、泡盛30度0.5合、ワイン12%(1杯120ml)1.5杯

となっています。普段飲んでいる量と比べていかがでしょうか。多い方は、見直すきっかけにしていただけたらと思います。
次は肝臓の働きについて詳しくみてみましょう。

 肝臓の働きとは?

肝臓は、再生能力がありますが「沈黙の臓器」といわれています。
そのため、自覚症状が出た時には重症化していることが多いのです。お酒をよく飲む方は定期的な健康診断で早期発見早期治療が大切ですね。

「肝臓=アルコール」のイメージですが、肝臓の働きを知らない方も多いのではないでしょうか。肝臓の主な働きは、3つあります。一つ目は、代謝(体に必要な栄養素を合成・貯蔵)。二つ目は、解毒作用(薬物を無毒化する、アルコールの分解など体に有害な物質を分解・解毒)。三つ目は、中性脂肪の消化吸収を助ける胆汁酸(胆汁)の生成や分泌 などです。

このように、肝臓はアルコールの分解だけでなく、生命に不可欠な働きがあるのです。
肝疾患の原因は、アルコールだけでなく、ウイルス性や薬剤性もありますが、日常で予防できるのは、アルコールの摂取や栄養の過剰摂取を控えるなどの食習慣ですね。

では、アルコールを飲んだ後は、どのような経路で吸収されるのでしょうか。
アルコールは、消化されることなく摂取後、胃で20%、小腸で80%吸収されます。体内に吸収後、肝臓で分解、その後筋肉や心臓に移動して分解されます。

最初に分解されるのが肝臓です。肝臓の大きさや遺伝子によりアルコールの分解速度が異なり、肝臓への負担も異なることがわかっています。

 アルコールと上手に付き合うための3つのポイント

ここからは、胃や肝臓に負担をかけないよう、アルコールと上手に付き合っていくためのポイントをご紹介したいと思います。

 週2日は休肝日をつくる

これは聞き飽きた方も多いのではないでしょうか。しかし肝臓の負担を減らすには、休ませてあげることが不可欠です。毎日飲んでいる習慣がある方は、まずノンアルコール飲料から始めましょう。自宅では、ノンアルコールビールや、炭酸水も良いですね。強炭酸にレモン果汁やシークヮーサー果汁、ミントを入れるのもおススメです。また、最近では、ノンアルコールのオシャレなカクテル「モクテル」がじわじわ流行しています。BARなどでも取り入れているところが増えてきたので、お付き合いで行く際にも、ノンアルコールのお酒を選ぶのも良いですね。

 お酒の合間に、お水を飲む

強いお酒ほど、水で中和するのが大切です。「チェーサー」ともいいますが、由来は「追いかける」ものという意味。お酒を飲んだあとに追うように飲むことからチェーサーとも言われています。自身でも実験してみましたが、間でお水を飲むと、お酒の酔い具合、次の日の残り方がまったく違います。肝臓への負担も変わってくるので、是非取り入れてみてくださいね。

 空腹時は避け、お酒は食事と一緒に摂取する

アルコールの吸収でご説明した通り、アルコールは胃で20%吸収されます。空腹時に摂取すると、アルコールの吸収も早く、胃や肝臓に負担がかかるので、空腹で飲むのではなく、食事と一緒に摂取しましょう。

お酒を飲むときに取り入れたい栄養素は、魚介類のイカ・タコ・魚の血合いに含まれているタウリンです。タウリンは、肝臓で胆汁酸の分泌を促進する働きがあります。また、肝臓を再生するのに必要な良質なたんぱく質(肉・魚・豆腐・卵)、肝機能を健康に保ち代謝に必要なビタミンやミネラル(野菜・海藻・きのこ類など)を取り入れましょう。

※注意 タウリンについて
シジミもタウリンが含まれている食品ですが、鉄分も豊富に含まれています。C型肝炎の方は、肝臓に鉄分が蓄積し、病状が悪化することがあるので、主治医にご相談ください。

最近飲みすぎている自覚がある方は、飲酒の量を把握し、肝臓を疲れさせない生活習慣も大切です。3つのポイントを意識しながらお酒を適度に嗜み、楽しく健康に過ごしましょう。

参照資料

(※1)沖縄県HP オトーリカードについて(宮古保健所)https://www.pref.okinawa.jp/site/hoken/hoken-miyako/kenko/kenkoudukuri/otori_card.html

(※2)厚生労働省 肝疾患の都道府県別年齢調整死亡率の推移
-平成7・12・17・22・27 年-https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/
other/15sibou/dl/05.pdf

(※3)琉球日報 オリオン「アルコール9%」やめます 健康に配慮 チューハイ「WATTA STRONG」
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1111433.html

(※4)厚生労働省 アルコールについて「節度ある適度な飲酒」引用https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/
b5.html#A51

けんこう沖縄21
http://www.kenko-okinawa21.jp/090-docs-category
/bunya/arukoru/

沖縄県のアルコールに関する現状と課題https://www.pref.okinawa.jp/site/hoken/chiikihoken/
seishin/documents/2gennjyoutokadai.pdf

沖縄料理研究家・管理栄養士 宮澤かおるさん

関東と沖縄の両拠点で、「ぬちぐすい(食は命の薬)」をモットーに沖縄の食文化や沖縄食材を広める活動中。管理栄養士として、ジュニアアスリートの栄養カウンセリング、料理教室・大学での助手、病院栄養士(内分泌系栄養指導等)、食のコンサルティング会社(TV番組料理アシスタント、商品開発、腎臓病サイト監修等)を経験され、幅広い栄養管理の知見・実績を積む。

沖縄の先代が大切にしてきた食文化、沖縄島野菜、琉球王国時代の食を次世代に伝える!という想いで関東初の沖縄料理研究家として活動中です!
沖縄県内ホテル食部門アドバイザー、泡盛メーカーコラム担当等

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