野菜に含まれる栄養素は、生活習慣病の予防になることがわかっています。糖尿病予防の食物繊維ついて解説します。野菜摂取や食事の見直しで糖尿病予防につなげていきましょう。
食物繊維とは
食物繊維は、栄養学的にみると炭水化物の一種で、「炭水化物-糖質=食物繊維」つまり炭水化物から糖質を除いたものが食物繊維です。この食物繊維は、水に溶けない不溶性食物繊維、水に溶ける水溶性食物繊維があります。
水溶性食物繊維は、腸内環境を整える、血糖値の急上昇を防ぐ、コレステロールの吸収を抑えるなどの働き、
不溶性食物繊維は、腸内の有害物質を体外に排出、腸内の良い菌を増やす働きがあります。
食物繊維の働き『血糖値の急上昇を防ぐ』
食物繊維の働きの1つ、血糖値の急上昇を防ぐとは、どのような状態なのでしょうか。水溶性食物繊維は、栄養素を包み込み、小腸からの吸収をゆるやかにする作用があり、血糖値やインスリンの急上昇を防ぎます。
食事で摂取した炭水化物(糖質)は、ブドウ糖に分解されます。このブドウ糖は、脳や筋肉のエネルギー源となる栄養素。血液中のブドウ糖を測定したものが血糖値です。
糖尿病とその要因
糖尿病とは、この血糖値が高い状態です。血液中にブドウ糖が増えると膵臓からインスリンというホルモンの働きにより、ブドウ糖を体内にとり込み、血糖値を下げます。しかし、このインスリンの働きが低下していると、ブドウ糖を体内にとり込めなくなり、血糖値が高い状態が続きます。これが糖尿病です。さらに、血糖値が高い状態が続くことで、合併症を起こしやすく網膜症や失明、腎症、神経障害、動脈硬化などの発症リスクが高まります。
糖尿病の種類には、先天的な疾患の「1型糖尿病」と、食生活の乱れ・運動不足・アルコールの過剰摂取・喫煙・ストレスなどの生活習慣が原因の「2型糖尿病」があります。さらに、健康診断で見つかりにくい「隠れ糖尿病」といわれる血糖スパイクが増えています。
血糖スパイクとは、糖質摂取後に、血糖値が急上昇し、その後急激に下がる状態です。この状態が続くと、血管を傷つけ動脈硬化のリスクや、糖尿病発症、がんや認知症の発症原因にもなることが考えられています。
糖尿病予防の食事方法
予防するには、食事を抜かないことが大切です。さらに、空腹時の血糖値急上昇が隠れ糖尿病の原因になるので、特にお腹がすいている時は、糖質の多い食品(菓子パン、ケーキ、砂糖入りの飲み物や甘いジュース類、炭水化物中心の食事)を一気に摂取するのは控えましょう。血糖値の急上昇を防ぐには、食べる順番も大切です。野菜やたんぱく質(肉・魚・豆腐・卵)から食べ始めるなど工夫もしてみてくださいね。
糖尿病の現状
近年、糖尿病は、国民病とも言われるほど増加傾向です。平成30年の「国民健康・栄養調査」によると、「糖尿病が強く疑われる人」の割合は男性 18.7%、女性 9.3%、で、糖尿病と予備軍を合わせると、なんと約2000万人と推計されています。
ニュースでは、「コロナ重症化は糖尿病などの持病保持者が多い」と報道されていました。そんなリスクを減らすためにも、食生活が乱れている方、炭水化物(糖質)が多い食生活の方、野菜が少ない方、などは食生活を見直して予防しましょう。
糖尿病予防のポイント
糖尿病予防のポイントをまとめました。できる事から取り入れましょう。
①野菜、きのこ、海藻などの惣菜を1品増やす
②砂糖入り飲料、お菓子やデザートのだらだら食べはやめる
③空腹時は炭水化物(糖質)のドカ食いは控え、野菜やたんぱく質(魚・肉・豆・卵)から食べる
糖尿病疑いの方も放置せず、継続的な健康診断や治療をおススメします。
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