フードデザート(食の砂漠化)とは、「生活環境の悪化」のなかで、住民の健康的な食生活維持が困難となった地域のことです。
地方都市に暮らす方の中には、電車やバスなどの交通機関を使用することができず、自家用車が主な移動手段だという方は少なくありません。この場合、家の近くにスーパーやコンビニエンスストアがなく、買い物先に困るというケースも多く考えられます。
特に自家用車の運転が困難で、家族や地域の助けが必要な高齢者は、限られた食料の中で暮らす必要があり、低栄養に陥りやすいとされています。 フードデザートの中でも、特に問題となっているのは、保存期間の短い生鮮食品の摂取が困難になることです。こうし食材は限られた保管スペースの中で、買い置きするには適さない食品だからです。しかし、生鮮食品には貴重な栄養素が豊富に含まれ、健康的で豊かな食生活をおくるために欠かせない食品です。
ここでは、フードデザート(食の砂漠化)における低栄養問題を踏まえ、食品の保存方法を工夫して必要な栄養素を摂取できるよう、すぐに実践できるポイントを食材の特徴に分けてご紹介します。
種類別食品保存のポイント
肉や魚
肉や魚は劣化しやすく、消費期限が短いため買い置きするにはむかない食品ですが、冷凍保存することで長く保存することができます。
一回に使用する量を小分けにして保存したり、用途に合わせてカットして保存しましょう。こうすることで、調理時に使いやすくなります。また、ひき肉など、すでに冷凍されていて且つ一回ごとに使用しやすい冷凍食品も販売されているため、状況に合ったものを考え、購入するといいでしょう。
また、日本では干物が多く生産されており、生の状態よりも日持ちするので購入の際には選択肢の一つにすると良いでしょう。しかし干物は、生の魚よりも塩分量が多いため、摂り過ぎには注意しましょう。塩分のことを考えると、一週間単位で食べる回数を決めるのがおすすめです。
そして、肉や魚の摂取には缶詰やパウチを活用するのもおすすめです。常温で長く保存でき、加熱がいらないものもあるため、手軽に取り入れやすい食品です。肉は焼き鳥やコンビーフ、スパムなど種類も多く発売されています。
魚で代表的な缶詰には、近年人気なサバやサンマ、ツナなどがあります。味がついていないものもあるので、調理の工夫次第で飽きずに食べられるのも嬉しいですね。
加工品ばかりの食事になってしまうのはあまり好ましくありませんが、こうした保存に適した食材を上手に活用していきましょう。
野菜
野菜は肉や魚よりは比較的日持ちしますが、種類ごとに保存出来る期間が異なります。買い置きに好ましいもの、早めに消費したいもの、それぞれの食材に合わせて保存しましょう。
【常温保存ができる食材(芋類や根菜など)】
じゃがいもやさつまいも、里芋、玉ねぎ、ごぼう、かぼちゃは直射日光を避け、風通しの良い場所で保存するのが好ましい食材です。
冷蔵庫のスペースが限られているときにも重宝します。常温で長く保存ができるので、あと一品何か欲しい時にストックしてあると便利です。買い物をする際は余裕があれば少し多めに買って保存しておくのもおすすめです。
【冷凍しても品質が劣化しにくい食材(葉物野菜やきのこ類など)】
キャベツや小松菜、ほうれん草、水菜、しめじ、えのきは廃棄部位を取り除き、使用する用途に合わせた大きさに切って冷凍保存するととても便利です。
下茹でなどの面倒な工程を経ずに、冷凍することができます。
離れて暮らす高齢者がいる家族がいる場合、週末などにストックを作っておくのもいいですね。他にも、肉や魚、複数の野菜を合わせておいたり、調味料で下味をつけておいたりするのも加熱するだけでおすすめです。もともと冷凍されている野菜も販売されているため、ご家庭の状況に合わせて活用しましょう。
まとめ
人が生きていくうえで食事は欠かせないものです。急速に高齢化が進む日本においても、フードデザート問題は深刻だと言えるでしょう。
この問題は、地方都市に住んでいる方に限らず、普段は容易に食材の購入ができる環境にある方も直面する恐れがあります。
それは、感染症や災害等を受け食材の買い占め等が発生し、一定期間もしくは長期的に食材の購入が思うようにできない状況におかれた場合です。
そうした状況に置かれた時は是非、上記で挙げた生鮮食品の保存と活用の工夫の知識をご活用ください。食材ごとに保存期間が長いものや常温で保存できる食材など、それぞれの食材を上手く組み合わせながら、ぜひ今日からできることを見つけて取り組んでみて欲しいと思います。
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