春薬膳*春の乾燥は体の中から起こる?春におすすめの食材5選【国際薬膳師コラム】

春になるとお肌や髪の「乾燥」が気になることはありませんか?

「乾燥」の季節というと、蒸し暑い夏が終わりを迎えた秋にはじまり、ハンドクリームやボディクリームが手放せず、乾燥対策にも力が入る寒い季節を思い浮かべる方も多いかと思います。

実は草木が芽吹きはじめる春も乾燥に要注意の季節なのです。

春の乾燥は自然の乾燥が強い秋や冬とは異なり、体のなかから起こっている可能性が考えられます。春にこんな不調に悩まされることはありませんか?

✅夜あまりよく眠れない
✅目が疲れやすい
✅手足がしびれる
✅爪がわれやすい
✅イライラしやすい

これらは乾燥とあまり結びつかないかもしれませんが、特に春に乾燥を感じやすい方におこりやすい不調です。

春の乾燥の原因を紐解き、春の乾燥予防するための食生活、おすすめの食材について、中国の伝統的な医学から誕生した薬膳を通してご紹介していきます。

まずは、薬膳におけるベースとなる中国で古くから伝わる『五行学説』の考え方についてあらためて整理したいと思います。

五行学説とは、地球上のあらゆるものが5つのグループ(木、火、土、金、水)に分けられ、それぞれが変化し、影響しあって存在していると説いています。
季節や色、方角など自然に関わるものの他、人の体の部位、気持ちもこの5つのグループのいずれかに分けられています。

『春』は生長や伸びやかさの特性をもつ【木】のグループに入ります。
春のほかには、人に関わる五臓の肝、怒りの感情、顔の一部である目などが属します。

もう少し詳しく、五行学説や「春はメンタルの不調に要注意!春に食べたい旬食材と薬膳のおすすめレシピ」を知りたい方は、以下コラムもご参考下さい!

 春の乾燥は体の中から起こっている?

春の乾燥は体の中から起こりやすいとお話しましたが、これはなぜでしょうか。

それは、季節と五臓【肝・心・脾・肺・腎】が深く関係しています。

春になると五臓のうち、【肝】の働きが活発になります。
【肝】は体に潤いと栄養を届ける「血」に、とても大切な五臓のひとつです。
「血」を蓄え、体に送られる「血」の量を調節しています。

ちなみに中医学では、人の体を構成する基本的な要素をとしており、「血」は人の生命活動に不可欠なものです。

元気な【肝】にはたっぷりの「血」を必要とする分、【肝】がよくはたらく春には、蓄えられている「血」が不足しやすくなります。

では「血」が足りなくなるとどうなるでしょうか。

必要な潤いと栄養が体中に行きわたらなくなってしまいます。透明感のある明るいお肌や艶やかな髪には十分な「血」が必要ですが、不足してしまうとカサカサ気味の血色の良くないお肌やパサつきのある髪など、乾燥の原因になります。

また、冒頭でご紹介した夜よく寝れない、目が疲れやすいなどは、【肝】が元気のないときや、「血」が不足しているときにみられる不調です。

中医学では体の内と外、心はつながっているため、何かひとつのバランスが崩れてしまうと、そこからいくつかの不調が引き起こされると考えます。そのため、不調の原因をつきとめれば、体のバランスを取り戻し、気になっていた不調が一気に解消することもめずらしくありません。

春になって乾燥が気になった方は、季節が変わってから体や心に変化や気になることがないか目をむけてみることをおすすめします!

 春の乾燥対策におすすめの食生活とは?

春は【肝】が活発に働き、「血」が不足しやすくなりますが、春も健やかに過ごすためには、どのような食生活が良いのでしょうか。

春はいつも以上に【肝】が栄養を必要とします。
普段と変わらない食生活をしていると、【肝】に必要な栄養が足りず、元気がなくなり弱まってしまいます。元気な【肝】にはたっぷりの「血」が必要です。

ここで、薬膳では食材がもつ力をいただきます。

例えば、暑い季節には体を冷やす食べ物を選ぶ、冷え性の人は体を温める食材をつかったお料理やお茶をいただくことで、食をとおして体のバランスを整えます。食べものや飲みものがもつ働きを使い分け、それぞれの人や季節によって必要なものを補います。

このとき、必要なものにだけ注目しがちですが、体質や季節によって控えたい食材もあります。例えば冷え性の人が体を冷やす食材をとると、冷えがひどくなってしまいます。そのときの体に避けたい食材を知り、控えることも薬膳の食生活です。

春の乾燥が気になったときの食生活のポイントは2つです。

①肝を元気にする血を補う
肝を元気にする食材、とくに血を補う食材を積極的にとるようにしましょう。また、血は陰陽の陰に分類されるので、陰を補う食材もあわせてとるのがおすすめです。

②辛い物は避ける
唐辛子や香辛料などの辛い物は陽の気が強く、乾燥をひどくしてしまうので、乾燥が気になるときには控えるようにしましょう。

「血」を補う春の乾燥におすすめの食材5選

それでは、五臓の肝を元気にする「血」を補う食材についてみていきましょう。

今回は特におすすめの5つの食材をあげました。

○「血」を補う食材○
豚レバー/鶏レバー、にんじん、黒ゴマ、ブドウ、イカ

血を補う 食材選びのポイント1 –
おすすめ食材名

〈性質・味・帰経*/分類〉(帰経*:五臓のどこに働きかけるかを表します)

豚レバー・鶏レバー

〈温・甘、苦・肝/血を補う〉

人参[にんじん]

〈平(微温)・甘・肝、肺、脾、胃/血を補う〉

黒胡麻[黒ゴマ]

〈平・甘・肝、腎、大腸/陰を補う〉

葡萄[ぶどう]

〈平(微温)・甘・肝、肺、脾、胃/血を補う〉

烏賊[イカ]

〈平・鹹・肝、腎/血を補う〉

薬膳料理というと小難しい印象があるかもしれませんが、普段つくるお料理の材料を目的にあわせて選ぶことからはじめられます。これら5つの食材をくみあわせて、いつもご家庭でつくるお料理を乾燥対策の春薬膳料理にしてみてはいかがでしょうか。

例えば黒ごまを散らした「イカと人参の炒めもの」や赤ワインと干しぶどうをいれて煮込む「レバーのワイン煮」などおすすめです。

陰を補う食材もいくつかご紹介しますので、参考にしてみてください!

陰を補う 食材選びのポイント2 –

○「陰」を補う食材○
牛乳、卵、チーズ、白ごま、白きくらげ、イチゴ、クコの実、ホタテなど


  春薬膳コラムまとめ

乾燥は見た目でわかりやすい分、ボディクリームなど体の外から潤いを与えることに目を向けがちではないですか?外からのケアはもちろん大切ですが、体の内側や心の声にも耳を傾けて、食べ物や飲み物をとおして、体のなかからのケアにもぜひ取り組んでみてください!

 その他おすすめ薬膳レシピ

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国際薬膳師・松野志保さん

国際薬膳師・松野志保さんMeal Partner_Kokusai-Yakuzenshi

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資格:国際薬膳師。薬膳素材専門士。スポーツマネージメント修士号。
中学校時代に住んでいた香港の食ライフが記憶に深く刻まれ、中医学の世界に魅せられ、国際薬膳師の資格を取得。 季節の薬膳、美容薬膳のほか、キッズ薬膳やメンズ薬膳、世界の料理や日本の郷土料理の薬膳アレンジを得意とする。 現在は、薬膳の執筆・カウンセリング・ワークショップ・レッスンなどの活動を行っている。

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