ふとした瞬間に季節を感じると、四季の移いに気づき、目の前の風景が愛おしく感じることはありませんか。日々の情景に少し意識を向けることで、いつもの暮らしがより豊かに麗しく感じ、四季がある日本で生活できること、自然豊かな環境に感謝の気持ちがじんわりとわきあがってきます。
季節を目で見て、耳で聞いて、匂いを嗅いで、肌で触れて、舌で味わう。
今回のコラムでは、季節を感じることができる『二十四節気』と『七十二候』の考え方と季節を楽しむ暮らしについて考えていきたいと思います。
<季節を楽しむ料理・レシピは以下よりご覧頂けます>
(季節を感じるレシピ、二十四節気レシピ、旬の食材レシピ等)
季節を感じる旧暦の暮らし
日本には春夏秋冬の四季があります。世界にも四季のある国は多くありますが、等間隔に季節が楽しめるのは日本の四季の魅力です。この等間隔こそが、旧暦との関係が深い、『二十四節気(にじゅうしせっき)』・『七十二候(しちじゅうにこう)』の暦です。
昔から、日本は季節にぴったり合う旧暦に沿って暮らしていましたが、現代では1年365日の太陽暦が採用され、実際の生活のリズムと暦の感覚のズレが感じられてしまいます。
健康長寿日本一の長野県では、二十四節気の考え方を大切にし、旬の食材をなるべく取り入れる風土があります。時季外れの食材よりも旬の食材の方が体によい栄養素が沢山含まれており、長寿の秘訣とも言われています。
二十四節気・七十二候とは
さて二十四節気・七十二候の考え方です。
『二十四節気』は太陽の位置をもとに1年間を24分割し、最も昼の長い日を夏至、最も昼の短い日を冬至、昼と夜の長さが同じ日を春分・秋分とし、それぞれを春夏秋冬の中心に据えることで季節を決めた暦。古代中国で農業の目安として作られた暦で、日本では平安時代から使われている暦です。1年を24に分割した二十四節気は、1節気がおおよそ15日となります。
『七十二候』は、1節気をそれぞれさらに3分割した暦で、約5日ごとに区切られています。七十二候の1つ1つの候にはその時期を表す名前がついています。
例えば、立春の七十二候は、初候:東風凍りを解く(とうふうこおりをとく)、次候:黄鶯睆なく(うぐいすなく)、末候:魚氷に上がる(うおこおりにあがる)となります。※日本の七十二候表現
二十四節気は、ある1日を表す日にちとしての意味と、次の節気までの期間としての意味があります。例えば、秋分は秋分の日1日という意味と、次の節気の寒露までの約15日の期間としての意味を持ちます。このことが節気が実際の季節よりも早いと感じるわけです。なお、二十四節気が示す日にち関しては年によって変わります。
二十四節気と食の見直し
二十四節気の基準は「夏至・冬至・春分・秋分」の四つの節気です。この四つを「二至二分(にしにぶん)」と言います。これらを元に春夏秋冬を決め、春分を春の中心、夏至を夏の中心、秋分を夏の中心、冬至を冬の中心としました。この二至二分に、季節の始まりとする「立春・立夏・立秋・立冬」の「四立(しりゅう)」を合わせて「八節(はっせつ)」としました。八節の区分に農作業の目安とするべく細かく分割した二十四節気が生まれましたとされています。
二十四節気は季節そのものです。体は、季節にあわせて体調変化しやすく、また季節の生活にあわせて必要な食材・栄養素は、本来、体がよくわかっているはずです。しかし、年中快適な住環境に恵まれ、様々な食材が手に入る世の中になり、体が欲し感じる力が薄れていくこと、そして世帯変化や社会の在り方がかわり、昔から伝わる生活の知恵袋が機能しなくなっていくことを、食ZENラボでは少し寂しく感じています。
その土地土地で暮らし、四季を感じ、旬の食材で命を繋いできた私達の良き生活の在り方を、再度見直し、生活を豊かにするため取り入れて頂けるよう食ZENラボでは二十四節気にあわせた食の情報発信をしていきます。季節ごとにご活用頂けたらと思います。
季節を感じ食生活を豊かにするポイント
1.旬の野菜やくだもの、食材を識り、体調にあうものを取り入れる
2.季節の色を見て、耳をすませ、息吹に触れる
3.季節の食材を五感で楽しむ
4.季節の花を鑑賞したり、おうちで愛でる
5.ハレの日、行事の食には手間と愛情をそそぐ
季節と暮らす食ZEN活動のすすめ
人は生命力が衰えた状態を「気枯(けがれ)」と言います。生活にリズムがないと日増しに気分が衰えていき、何を見てもやる気が湧かなくなってしまいます。この気枯れの状態を防ぐためにも四季の変化を感じることはとても大切です。
日本の二十四節気・七十二候は農事暦であると同時に、明らかに季節美を味わう世界観でもあります。食ZENラボで毎日を豊かにしていただけたら幸いです。
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