– 摂南大学 安藤 真美 教授 監修 –
女性のお悩みで多いのが、「体重が気になる」「生理前・生理中の体調」「むくみ」ではないでしょうか。
今回は、これら3つのお悩みに関して食事で心がけたいことについて、摂南大学農学部の安藤真美教授から教えていただきました。ぜひ日常の食生活に取り入れてみてくださいね。
1.体重が気になるとき
食べる内容や食べ方を工夫するだけで、簡単に理想の体重を目指せる!?
体重が気になるときは、ついつい食べる量を減らすことを考えてしまいがち。しかし、必要以上に食べる量を減らすと、全体的な健康バランスを崩してしまう事も。食べる内容や食べ方を工夫するだけで、意外と簡単に理想の体重を目指すことが可能です。
【ダイエットのポイント】
✓消費したエネルギーが摂取したエネルギーよりも多くなるようにする。
✓基礎代謝を上げるだけで消費エネルギーを上げることができるので適度な運動も大切。
✓我慢しすぎるとストレスになるので、自分に合った食生活を楽しむことが大切。
①必要な栄養素と食べ方のポイントとは?
◆必要な栄養素…たんぱく質、ビタミン、ミネラル、食物繊維
・たんぱく質…筋肉の維持のために大切な栄養素。
筋肉が多いほど基礎代謝が高くなる。無理な食事制限で基礎代謝を落としてしまうと、かえって痩せにくい体になる可能性がある。
・ビタミンB₁ …糖質など炭水化物の代謝に関係している。
アリシンを含むねぎやニンニクと一緒に食べる料理もおすすめ。
・ビタミンB₂…脂質の代謝
・ビタミンB₆ …たんぱく質の代謝に関係している。
【食べ方ポイント】
✓よく噛んでゆっくり食べる
よく噛んでゆっくり食べることで消化も良くなり、満腹中枢が刺激されるので食べすぎを防ぎます。噛む回数が増えるような食材を意識的に取り入れましょう。
✓野菜料理を最初に食べる
野菜に含まれている食物繊維により、血糖値の急激な上昇を抑えることができます。生で食べると良いですが、温野菜などはカサが減るので量的に無理なくたくさん食べることができます。生野菜と温野菜を適宜取り入れると良いでしょう。
②比較的簡単に作れるレシピ:切り干し大根のピリ辛サラダ
【材料の分量 (2人分 )】
* 切り干し大根:20g
* きゅうり:1/2本
* 穀物酢:大さじ1
* うすくち醤油:大さじ2/3
* ゴマ油:大さじ1
* 鷹の爪:1/2~1本
[1]切り干し大根はよく洗い、水で5分ほど戻す。水気をしぼる。
[2]きゅうりは薄い輪切りにして軽く塩もみし、しぼる。
[3]穀物酢とうすくち醤油、ゴマ油を合わせ、小口切りにした鷹の爪を混ぜる。
[4]1と2を3であえて盛りつける。
・乾物を利用した食物繊維がたっぷりで手軽な1品です。
・きゅうりの食感と切り干し大根の歯ごたえがポイントです。
・鷹の爪に含まれているカプサイシンは、エネルギー代謝を活発にする効果があります。辛味物質のため、お好みで量は調節して下さい。
2.生理前&生理中におすすめ
生理中の不快な症状として代表的な生理痛は、身体の冷えで悪化しやすい
女性の生理周期は、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)と呼ばれる2つのホルモンにコントロールされており、月経前症候群(PMS)の原因としては、これらの女性ホルモンの変動が関わっています。ストレスなどで症状が悪化しますので、上手なストレス解消を心がけることが大切です。
一方、生理中の不快な症状は「生理痛」が代表的。生理痛の多くは、プロスタグランジンという生理活性物質の分泌と血流の低下が原因です。血流の低下とプロスタグランジンの分泌量は反比例関係にあるため、体が冷えると生理痛が悪化しやすくなります。
【生理前および生理中をできるだけ快適に過ごすためには?】
✓ストレスを溜めないこと
✓体を冷やさないこと
✓血行促進 が重要なポイントです。
①必要な栄養素と食べ方のポイントとは?
◆必要な栄養素…血行促進効果の高いビタミンEやビタミンC
◆体を温める食品…しょうが、ネギ、にんにく
*しょうがは加熱すると、さらに体を温める効果が増加する
しょうがに含まれている「ジンゲロール」という成分は体を温める効果があります。「ジンゲロール」は、加熱をすることで「ショウガオール」へと変化し、体を温める効果がさらに高くなるため、加熱調理がより効果的です。
ネギやにんにくも体を温める効果がありますので、料理の種類によって使い分けると良いでしょう。
②スーパーでも購入しやすい代表的な食材とは?
西洋カボチャ、パプリカ、アボカド、種実類(アーモンド、ピーナツ)、うなぎ、しょうが、にんにく、にら、タマネギ、ネギ などがあります。
③比較的簡単に作れるレシピ:アボカドとミニトマトの卵スープ
【材料の分量 (2人分)】
* アボカド:1/2 個 * ミニトマト:4個 * 白ネギ:15cm * しめじ:10本程度 * しょうが:5g * ウインナー:1本 * 卵:1個
☆ サラダ油:適量、水:400cc、中華だし(顆粒):大さじ1、すくち醤油:小さじ1
☆ 胡麻油:小さじ1/2、あらびき黒胡椒:少々
[1]アボカドは、皮と種を取り、1口大に切る。
[2]ミニトマトは半分に切り、白ネギは薄い輪切り、しめじはほぐす。しょうがはせん切りにする。
[3]ウインナーは輪切り、卵は割りほぐす。
[4]鍋に油をひき、白ネギ、しめじ、しょうがを炒める。
[5]水を加え、中華だしとうすくち醤油で味を調えてミニトマトとアボカドを加え5分ほど加熱する。
[6]卵を、穴あきお玉を通しながら細く流し入れ、浮き上がったら、盛り付ける。
[7]胡麻油をかけ、黒コショウをふる。
・身体を温める効果のあるしょうがを加熱してさらにパワーアップ。
・血行を良くするビタミンEやビタミンCの豊富な食材を使っています。
・ドライトマトを使用するとビタミンEやビタミンCも大幅に増加します。
・トッピングに溶けるチーズを使っても良いです。
3.むくみを防ぐ
根本的にむくみが生じないよう意識して日常生活を送ることが大切
人間の体は体重の約60%が水分 。むくみとは 、間質液という細胞と細胞の間の水分が余分な水分として過剰に溜まった状態 をいいます。
【むくみの原因】
✓長時間同じ姿勢でいる
✓冷え
✓ストレスなどによる自律神経の乱れ
✓アルコールの摂取
✓塩分の摂り過ぎ
【むくみを防ぐには】
✓適度な運動
✓ストレスを溜めない
✓睡眠
✓塩分をとりすぎない
※1日の塩分摂取目標は6.5g未満とされています(日本人の食事摂取基準2020)
①必要な栄養素と食べ方のポイントとは?
◆必要な栄養素…「ミネラルのカリウム」
カリウムは塩分の体外への排出を促す作用があります。
カリウムは加熱しても変化しないので、生はもちろん加熱しても大丈夫です。ただ水溶性のため、カットした状態で水にさらしたり、煮たりした場合は一部溶出してしまいます。長時間水にさらさないようにしたり、煮物の場合は煮汁ごと食べると良いでしょう。
また、根本的には塩分をとりすぎない工夫も大切です。一般的な減塩の工夫としては、だしを効かせる、レモンなどの柑橘類や酢で酸味を効かせる、ごま、油などで香ばしさや風味をだす、カレー粉などの香辛料やシソやハーブなどの香味野菜を使い味に変化をつけるなどが挙げられます。献立全体での工夫としては、一品だけしっかり味付けをすることで、すべての料理が薄味になるよりも満足感が得られます。そのぶん、他の料理は減塩しましょう。
②スーパーでも購入しやすい代表的な食材とは?
カリウムは、様々な食品に含まれています。代表的な食材は以下があります。
果物(アボカド、バナナ、ドライフルーツなど)、野菜(ほうれんそう、みつば、にんじん、ミニトマト など)種実類(アーモンド、ピーナツ)
③比較的簡単に作れるレシピ:デラックスフルーツサラダ
【材料の分量 (2人分 )】
* アボカド:50g(1/2個)
* バナナ:60g(1/2本)
* りんご(皮つき)- 生 :40g(1/4個)
* レモン・果汁- 生:小さじ1
* 干しぶどう: 適量
* アーモンドスライス:適量
<ヨーグルトソース>
*ヨーグルト(全脂無糖) :50g
*はちみつ:適量
[1]アボカドは、皮と種を取り、1口大に切る。
[2]りんごは皮付きのまま、いちょう切りにする。バナナは輪切りにする。
[3]レモン汁で和える。
[4]ヨーグルトに、はちみつを混ぜてソースを作る。
[5]1と2を4のソースで和えて盛り付ける。
[6]ぬるま湯でもどした干しブドウと、オーブントースターで軽く焼いたアーモンドスライスを散らす。
・カリウムの豊富な食材を使ったデザート感覚の1品です。
・アーモンドスライスのパリパリとした食感がアクセントです。
・好みで果物やナッツの種類を変えたり、増やしても良いでしょう。
< 教えてくれた先生 ・レシピ監修> 安藤 真美 – 教授 –
所属:摂南大学 農学部 食品栄養学科
研究分野:調理科学
研究室:「健康調理学」の視点から、さまざまな調理操作による食材の栄養成分、嗜好性、生理機能の変化について研究を進め、人々のQOL向上を目指します。
コメント