栄養カウンセリングを日々お受けする中で、女性の体調に関して、食の悩みや栄養面の相談を寄せられます。その中でも、今回は【冬に落ち込みやすい】『季節性気分障害』についてご紹介いたします。
師走といわれる12月は忙しくなる年の瀬で、落ち着かない日々を過ごす方もいらっしゃるかもしれません。忙しさが続くとどうしても、体を作る食事がなおざりになってしまいます。しかし、毎日ハードなスケジュールをこなしていくには、自分の精神面、身体面ともに健康な状態を保つことが不可欠です。
精神面は食事の影響を受けやすく、冬場は特に気分が不安定になる季節です。
本コラムでは、冬特有の『季節性気分障害』に対する食からのアプローチについてご説明させていただきます。
季節性気分障害・季節性情動(感情)障害とは?
『季節性気分障害』は冬季うつや季節性うつ病とも表現され、秋から冬にかけて、落ち込みやすいなどのうつ症状が現れ、春先になるとよくなるのが特徴です。
季節性気分障害の症状
☑ やる気がでない
☑ 落ち込みやすい
☑ 思考が進まない
☑ 倦怠感がある
上記の他、過眠や過食、体重増加といった症状が現れることもあります。
季節性気分障害の改善法
季節性気分障害の原因は[日照時間]と[体内時計の乱れ]にあると考えられており、高照度光療法という明るい光を体に1~2時間程度浴びるアプローチが第一選択となります。
季節性気分障害に対する栄養学的アプローチ
栄養療法ではビタミンDの補充によって改善が期待できるとされています。
ビタミンDは、日本人の8割が不足、4割が欠乏している、不足しがちな栄養素の一つです。諸外国ではビタミンDが強化された食品が多く開発されているのに対し、日本ではそういった商品は少なく、まだまだビタミンDの重要性が認識されていないのが現状です。
ビタミンDの働き
ビタミンDは食品からの摂取と日光を浴びることで皮膚から生成されます。
冬場は、日照時間が短いため、ビタミンD不足による体調不良をきたしやすい季節です。
○ カルシウムとリンの吸収を促進する
○ 骨を強くする
○ 脳内で神経細胞の保護や増殖・分化を調節する
○ 免疫力を向上する
○ 糖尿病を予防する
○ 発がんを抑制する
臨床では、花粉症などのアレルギーやうつ病、乾癬に対する治療への応用が期待されています。
もしかしてビタミンD不足かも?
ビタミンDが不足すると以下の症状が現れます。
☑ 風邪をひきやすい
☑ アレルギー症状が出現しやすい
☑ 骨が弱くなる
☑ 気分が落ち込みやすい
特に冬場に上記の症状が現れるという人はビタミンD不足の可能性があります。
また、夜勤などで不規則な生活をしている方や外出する機会がなく家で過ごす時間が長い方なども注意が必要です。
ビタミンDを多く含む食材
1日220 IU(5.5μg)、上限は4,000 IU(100μg)
・いわし(100g):2,000 IU(50μg)
・焼き鮭(1切れ):1,576 IU(39.4μg)
・干し椎茸(100g):508 IU(12.7μg)
・鯖缶の水煮(1缶):440 IU(11μg)
ビタミンDは、魚の内臓部分に多く含有されているため、内臓をまるごと食べられる「いわし」、「ししゃも」、天日干しによりビタミンDの含有量が増加する「干し椎茸」などがおすすめです。
終わりに
今回は、冬場に気分が落ち込みやすくなる季節性気分障害の栄養的アプローチについてご紹介しました。ビタミンDは、日光を浴びることで皮膚から生成されるため、外が明るい間に散歩をする、夜更かしをせず朝方生活に切り替えるといったことも有効です。特に朝に日光を浴びると、ビタミンDだけでなくセロトニンの生成も促されるため、明るく前向きに1日を過ごすことができるでしょう。
「忙しいけど何だか元気がでない…。」という時は、まず食事や生活スタイルの見直しを行ってみましょう。
身体が栄養に満たされ、体内時計が正常化されると、ご自身のもつパフォーマンスを最大に発揮することができ、気持ちよく1日を過ごすことができるようになります。
秋・冬は特にきのこが美味しい季節ですね。きのこが『ダイエットに良い理由』や『体調や体のトラブル別オススメきのこ・摂取法』をまとめたコラムもありますので、よろしければご覧ください。
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