沖縄もずく×腸内環境を整える食のポイント【管理栄養士コラム】 

春から夏にかけて、沖縄の旬食材【もずく】が美味しい時期です。
今回は、もずくの由来栄養素、ウイルスに負けない身体づくりに重要な【腸内環境を整える食のポイント】などを解説します。

 沖縄県の旬食材もずくは、全国の99%が沖縄産!?

もずくの由来は、藻に付いて生息することから「藻に付く」もずくと呼ばれるようになりました。また、漢字では【水雲】、沖縄本島では【スヌイ・スヌル】、宮古では【ススズイ】ともよばれています。

沖縄もずくは、海洋環境が大切で、有機物やリンなどが少ないきれいな海にしか生息しない性質があります。沖縄では戦後、海洋環境が悪くなりましたが、何年もかけ海での養殖が成功。現在では、沖縄の特産品となり、全国に出回っている99%が沖縄産なのです。

昭和54年頃からもずくの養殖が定着し、当時の生産量は約1千トン程度でしたが、2020年には生産量が2万2916トンで過去最多と報じられました(※1)。2万2916トンとは、はたして何食分に相当するのか・・・全国のみなさんで食べても余るほどあるかと思います。
しかし収穫量は、海水の温度や日照時間で異なります。2019年1万538万トン、2018年2万2036万トンなど、不作との時もあれば、豊作の時もあり、海洋状況によって大きく変化します。このように、もずくが育つ条件には、きれいな海洋環境や、日照時間・海水温などが関係しているのです。

 モズクには種類がある!?

もずくには種類があるのをご存知ですか。数年前、福井県越前の海沿い初めて「天然岩もずく」に出会いました。絹のような細さで、食感・ヌメリ・味も沖縄のもずくと違い、同じ海でもこんなにも違うのだと実感しました。

収穫する地域によってナガマツモ科、マツモ科、モズク科に分類され、粘り気や食感、太さなどが異なります。沖縄で収穫されるもずくは、二種類でナガマツモ科のオキナワモズクは奄美大島・沖縄本島・八重山諸島・宮古島など、モズク科のモズクは沖縄や宮古などで収穫されます。

特に、このオキナワモズクは太く、ヌメリがあるのが特徴です。旬は3月~6月で、沖縄県内では、もずくの生産量が一番多い時期4月の第3日曜日を「もずくの日」とし、漁港などでモズクイベントが開催されています。

 生もずくの美味しい食べ方

スーパーでは、三杯酢など味付きパックが1年中出回っていますね。
沖縄県に在住の方でも「生モズクはあまり食べない」という話をよく聞きますが、コラムを読んでくださっているみなさんはいかがでしょうか。生もずくは、新鮮なものほど食感があり、磯の香りがふんわり感じ1度食べたら生もずくしか食べたくなくなるほど美味しいのです♪

新鮮な生もずくの美味しい食べ方は、そうめんのように薬味と麺つゆで食べるのがおススメです。シャキシャキとした新鮮な食感が楽しめますよ。また、クセがないので色々な料理にも相性抜群!
味噌汁やスープに入れる、炒め物にプラスする、沖縄では給食の人気メニューもずく丼などもあります。冷凍も可能なので、小分けにしておくと便利ですよ。これから生もずくが出回る時期なので、まだ食べたことがない方は是非お試しくださいね♪
次は、もずくの栄養についてみてみましょう。

 もずくの栄養素とは?

オキナワもずくの主な栄養価は、100g中エネルギー7kcalと低カロリー!
糖質は0gのヘルシー食材。さらに、腸内環境を整える食物繊維体内でビタミンAに変換され皮膚や目の健康を保ち老化防止のβ―カロテン体内の調整に必要なミネラルなどが含まれています。(※2)

上記の他に、オキナワもずくで注目されている栄養素は、機能性成分のフコイダンです。フコイダンは食物繊維の一種で、様々な効果が期待されています。


フコイダンに関して、詳細は以下の解説をご参照ください。
沖縄もずく【フコイダン】の効果は本当!?|沖縄料理研究家 宮澤かおる|note


もずくを含む海藻類の食物繊維は、腸内環境を整える働きがあります。「免疫は腸から整える」というように、免疫力を高めるには腸内環境を整えることがとても大切です。では、実際には何を食べたらよいのでしょうか。
次は、免疫が低下する原因や腸内環境を整える栄養素や食材を詳しくみてみましょう。

 免疫が低下する原因とは?

免疫とは、簡単に言い換えると「細菌やウイルスから身を守る防御システム」のことです。

過度にストレスを感じている時に、風邪をひいた経験はありませんか。これは精神的ストレスにより自律神経のバランスが乱れ、身体を守る免疫力が低下した状態です。このように、免疫力が低下することで、感染症などにかかるリスクが高まります。免疫力が低下する原因は、ストレスの他に疲労・加齢・冷え・生活習慣などがあります。

近年、ヒトの免疫は60%以上腸内にあることがわかっています。腸内の良い菌(善玉菌)が増え、腸内環境を整えることで、免疫細胞が活性化されます。

では、腸内環境を整えるにはどのような食材を選べばよいのでしょうか。ポイントは以下の3つです。

 腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整え免疫力を高めるポイント

 

 ①食物繊維が多い食品を食べる

食物繊維は、水に溶ける水溶性食物繊維と、水に溶けない不溶性食物繊維があります。
・水溶性食物繊維は、腸内細菌の発酵により腸内を酸性にし、ビフィズス菌や乳酸菌など良い菌(善玉菌)を増やします。
・不溶性食物繊維は、排便を促し、アレルギー性物質や発がん性物質を体外に排出し、腸内環境を整える働きがあります。

水溶性食物繊維が多く含まれる食品

押麦・もち麦・にんにく・らっきょう・エシャレット・アボカド・完熟の果物(ペクチン)りんご・納豆・麦・海藻(もずく・昆布・メカブ・ワカメ)など。

不溶性食物繊維が多く含まれる食品

豆類・大豆製品(大豆・ひよこ豆・納豆・おから)、野菜類(枝豆・ブロッコリー・ごぼう・オクラ・切り干し大根・モロヘイヤ)、きのこ類(えのき・キクラゲ・椎茸・エリンギ・舞茸)、穀類(オートミール・ライ麦パン・玄米・雑穀)、完熟パパイヤ・パイナップル・乾燥プルーンなど。(※3)

さらに食物繊維を摂取するときは割合も大切です。水溶性食物繊維と不溶性食物繊維は、1:2の割合で摂取するとバランスがよいと言われています。
1つの食材に偏るのではなく、色々な食材から食物繊維を摂取することがおススメです。野菜類、豆類、きのこ類、海藻類は、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方が含まれているものが多いので、普段の食事に取り入れましょう。

 ②発酵食品(乳酸菌)を毎日取り入れる

発酵食品には良い菌(善玉菌)のエサとなる乳酸菌が含まれています。
一度食べたから免疫が高まるのもではなく、継続的に発酵食品を取り入れることが大切です。

発酵食品

納豆・キムチ・ヨーグルト・味噌・チーズ・塩麹・甘酒など

発酵食品は賞味期限が長いものが多く、塩麹や味噌は1か月以上、ヨーグルト・納豆・キムチは1週間ほど保存可能です。冷蔵庫の定番食材にすると手軽に取り入れられますね。

 ③脂質の多い肉類の過剰摂取は控え、良質タンパク質を取り入れる

脂質の多い肉類は、悪い菌(悪玉菌)のエサとなるため、偏って継続的に食べ続けると悪玉菌が増える原因となります。そのため、脂質の多い肉類の過剰摂取は控えましょう。肉類は、脂質の少ない部位を選ぶとよいですね。

さらに免疫力を高めるには、免疫細胞の材料となる良質たんぱく質が必要です。加工品(ウインナーやハム)ではなく、良質たんぱく質の肉・魚・豆・大豆製品(納豆・豆腐)を取り入れましょう。

このように、色々な食材を摂取することで腸内環境が整うのです。
腸内環境を整え、免疫力を高め、ウイルスに負けない身体づくりをしましょう。


 もずくを使ったレシピご紹介
 『もずくtoしらたきの塩麹チャプチェ♪
 『アボカドとモズクのやみつき簡単和えもの♪
 ミールミーツオンライン料理教室・琉球・沖縄料理シリーズ『沖縄モズク天ぷら

参照:
(※1)もずくの生産量
http://www.mozukukyo.org/topics/3526

(※2)もずくの栄養価
文部科学省 日本食品成分表2021(八訂) 

(※3)水溶性食物繊維・不溶性食物繊維の含有量
文部科学省 日本食品成分表2020(七訂)

沖縄料理研究家・管理栄養士 宮澤かおるさん

関東と沖縄の両拠点で、「ぬちぐすい(食は命の薬)」をモットーに沖縄の食文化や沖縄食材を広める活動中。管理栄養士として、ジュニアアスリートの栄養カウンセリング、料理教室・大学での助手、病院栄養士(内分泌系栄養指導等)、食のコンサルティング会社(TV番組料理アシスタント、商品開発、腎臓病サイト監修等)を経験され、幅広い栄養管理の知見・実績を積む。沖縄県認定・琉球料理伝承人。

沖縄の先代が大切にしてきた食文化、沖縄島野菜、琉球王国時代の食を次世代に伝える!という想いで関東初の沖縄料理研究家として活動中です!
沖縄県内ホテル食部門アドバイザー、泡盛メーカーコラム担当、全国紙沖縄料理特集担当、沖縄食材トークショー、TV出演 等

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