子どもをもつ親として、“子どもが元気に生き生きと育ってほしい”と誰もが思うことではないでしょうか。そのためには、十分な栄養で満たしてあげることが重要です。
しかし、近年では、数十年前に比べ野菜や果物の栄養素がどんどん減ってきていることが複数の研究から明らかになってきています。このことから知らず知らずのうちに、身体が栄養失調になり、病院にいくほどではないけど、なんだか体調がすぐれないと不調をもつ子どもが増えてきています。
つまり、親である私達が、日ごろの小さな不調に気づき、大事に至る前にケアしてあげることで、生き生きと過ごすことができます。
本コラムでは、子どもの脳・心・身体を作るためのブレインフードをご紹介させていただきます。
新型栄養失調
食事からの「カロリー」は足りているのに、ビタミン・ミネラル・食物繊維など特定の栄養素が足りていない状態のことをいいます。
一般的な栄養失調は、瘦せ細ってしまうのに対して、新型栄養失調は、痩せ体型だけでなく肥満体型の方もみられます。
子どもに現れる不定愁訴
「なんとなく体調が悪い」という自覚症状で、漠然とした体調不良などを訴えるが、精査しても原因が分からない状態のこと。
『子どもの不定愁訴』には以下のようなものがあげられます。
✅イライラする
✅「たちくらみ」や「めまい」を起こす
✅朝なかなか起きられず、午前中、身体の調子が悪い
✅身体のだるさや疲れやすさを感じる
✅食欲がない
✅何もやる気がおこらない
✅集中力が続かない、忘れっぽい
こういった症状は病院では病名がつかず、「うちの子は、ちょっとだらしないのかもしれない」や「この子のもつ性格なのかしら」と思われる親御さんもいらっしゃるかもしれませんが、トラブルを早期に察知し、しっかりと栄養的なアプローチをしてあげることで、症状の改善を見込める場合があります。
子どものための代表的なブレインフード
それでは、ブレインフードご紹介させていただきます。すくすくと育つ「子どもの脳・心・身体を作るため」には『良質なタンパク質』、『良質な油』、『鉄分』、『ビタミンB群』の食べ物が大切です。
良質なたんぱく質 – good quality protein –
タンパク質は筋肉、血管、骨、粘膜など体を作るために重要です。
また、タンパク質は、集中力を発揮するノルアドレナリン、やる気や運動、学習に関わるドーパミン、幸福感を感じるセロトニンなどの原料になるため、脳の働きにも欠かせない栄養素です。
魚介類、大豆製品、卵、赤身の肉
良質な油 - good quality oil –
亜麻仁油、えごま油、魚の油は、オメガ3系脂肪酸といわれる油で、アメリカのNIH(アメリカ国立衛生研究所)が主導する臨床研究では、認知機能の低下を軽減し、記憶力を改善する効果が得られることが明らかになりました。
子どもにおいては、脳と目の発達と機能をサポートするのに欠かせない栄養素です。
亜麻仁油、えごま油、魚の油
アマニ油 えごま油 魚の油
鉄分 - iron –
鉄分は血液の成分を作るだけでなく、血管や皮膚のもととなるコラーゲンや神経伝達物質の生合成に不可欠な栄養素です。
鉄分が不足することで、疲労感やめまい、イライラ、眠気などが起こることがあります。
つまり子どもの“心”をつくる上で重要な栄養素です。
鶏レバー、あさりの水煮、しじみ、牛もも肉、さんま、かつお
あさり(水煮) 牛もも肉 さんま
ビタミンB群 - vitamin B –
ビタミンB群は、体の中でエネルギーを産生するのに栄養素です。
しっかり摂取することで疲れにくい身体をつくることができます。
またタンパク質から、神経伝達物質を作るためにも必要な栄養素で、やる気、集中力、幸福感、覚醒、睡眠など、子どもの情動を作るために必要不可欠な栄養素です。
玄米、豚肉、納豆、あさり、季節の青菜
玄米 季節の青菜
終わりに
本コラムでは、子どものためのブレインフードについてご紹介しました。
子どもの身体は、大人の身体よりも、新陳代謝が盛んなため、栄養に対する反応に敏感です。十分な栄養を満たしてあげることで、その子がもつ本来の力を最大に発揮させてあげることができます。
食事は、毎日のことなので、季節の野菜を切って亜麻仁油で和えるだけ、野菜を切って煮込むだけなど、手軽で毎日続けられる調理法を選択し、今回の食材を日々の献立作りにお役立ていただければ幸いです。
共働きの家庭が増え、家族全員で食卓を囲むことが難しい方もいらっしゃるかもしれません。子どもの自己肯定感を高めることができれば、その子の人生が豊になるだけではなく、親御さんも子どもの成長に大きな幸せを感じることができます。以下の『子どもの心を豊かにする食卓とは』の食コラムもご参考頂ければと思います。
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